ヒロイン寸評は難しい!

 

※内容に触れてます。 

原作ドラマと比較して、決定的な違いは、ヒロインの扱い方でした。

ルォシーも、途中、気持ちが解りにくくて歯痒かったけど、
彼女の独白は、現代人感覚で冷静になろう、先を読もうとしていて、

それなりに心理戦を繰り広げていて楽しめました。

その分、ロマンスも、どこか理詰めでしたね。

八爺や四爺の言葉の意味や出方など、一つ一つ吟味していました。
なにより、ルォシーが中心であり、印象としても、能動的でした。

スの場合は、「主」がいたうえでの万能相手役といったところでしょうか。

ルオシーに比べて歴史的知識に乏しいというハンデがあるので、タイムスリップものという利点も活かせませんし、七人の小人ならぬ たくさんの皇子様と急に同居することになった『白雪姫』みたいなものです。

 

 

彼女は、コ・ハジンとしての実年齢26歳の人生経験があるので、
きちんと相手と向き合えば、『理解の人』として、抜群のセンスを発揮します。

いろいろな騒動を通して、多数いる登場人物の心の機微をひろいあげながら、

「万能相手役」として整理をしていきます。

 

ただし、この展開では、スの考えていることが、ダイレクトに表現されず、常に受け身にならざるを得ません。

彼女の心の軌跡をもう少し丁寧に、ポジティブに追ってくれたら、分断感が薄れたかもしれません。

 

スは、高麗に適応しているように見えて、根底では、この時代に根付くことに本能的な躊躇いがあったように思います。

最初は、当然、オンマが恋しいし、もとの世界に戻れるものなら、すぐにでも戻りたかっただろうし、

時間が経って、高麗になじめばなじむほど、今度は、突然、(目が覚めたら)戻されるかもしれない、という怯えも出てきていたはず。

 

ただし、彼女をとどめるための、肝心のロマンスは、思った程、進展しません。

 

もちろん、ワンウクには本気でトキめきました。

なにしろ、この世界で生きていけるよう、導いてくれた人です。

いや、むしろ、これでときめくのな、というのは、拷問です。

 

ワンソからは、溢れ出る愛情を注がれ、それも、常に 「命」と天秤。

実際、これをまともにくらって、ヘスの心の中は、乱れに乱れまくります。

 

実際愛してもいたし、離れがたい想いを抱きはしますが、なぜか、特定の人を愛することに、本能的に躊躇っているようにしか、私には思えなかったです。

だからといって、断ち切れるわけでもない。

 

命を懸けて守る愛・・・たしかにドラマティックな流れを生み出しますが、

結果として、命を懸けられ、その想いを託されたものは、

その苦しみと重みを一身に受け止めなければならない・・・。

それが、このドラマ後半戦のヘスです。

 

オ尚宮と ウクとの恋を失い、

別人のように、自分を抑えて生きるようになりました。

 

スによって、導かれたワンソが、そんなスの閉ざされた心を、放っておくはずがなく、貫けば貫くほど、徹底的に守る姿勢そのものが、ワンソの最大の弱点になってしまうという矛盾。

 

だからこそ、回を重ねるうちに、彼女自身が 起爆スイッチになっていき、

小爆発を繰り返しながら、展開がどんどんシリアスになっていくところなど、本気で辛くて、本当に目が離せなくなりました。

 

立場的にも、気持ち的にも、自分の意見が言えなくなってしまったスが、言葉の代わりに、一つ一つ石を積み上げた願いの塔。

 

最終回で、愛の反対は憎しみではなく、捨てることだと、手紙にしたためたヘス。
「俺がヘスを捨てたんじゃない。ヘスが俺を捨てたんだ」に対する見事な回答を用意してました。
 

命を懸ける愛を、犠牲のように捉え、ずっと苦しんできたスでしたが、

自分の命と出産のリスクを前にして、微塵の迷いもありません。
チビヘスの誕生こそが、ワンソの愛への唯一の返事であり、このドラマの未来でした。

 

もちろん、もう一つの未来の示し方として、

タイムスリップものの場合は、現世で出会うという道を示されることも多いですが、

消息を知る、くらいに留めておくほうが、個人的には好きです。

賛否両論あることを承知で言えば、

やはり どちらかが本人で どちらかが転生となると、別人との新しい愛という感じがしてしまうので・・・。

・・とは言え、そこに至るまでは、本当に紆余曲折ありました。
 

進め方を一歩でも間違えれば、過失か過失でないかに関係なく、権力を持つ人間の思惑ひとつで、一寸先は「死」と隣合わせの世界。

その権力も、決して、一瞬たりとも盤石ではなく・・・。

 

「歩歩驚心」  いいタイトルですよね。

 

自分の時代だったら、思う存分愛しあえたはずだというのが、ヘスの根底にはあったのでしょう。

それを、基盤におくあまり、スの感情の発露が封じられた結果、どうしても、ワンソが空回りしているように見えてしまう部分は残念でした。
 

スに対しての、ハヌル君の手加減さが、ちょうど心地良かった。
ようつべに上がった『ワンウク×ヘス』の動画に癒されてます。(笑)

職人様、感謝してます。。。