1973年にアメリカNCIのFidler博士がマウスのメラノーマ(悪性黒色腫という皮膚がん)のB16細胞をシッポから注射して肺転移を起こさせて、転移した細胞をまた注射することを繰り返して、B16-F10という高い転移能力を持つ細胞を作り出しました。

以後、この細胞を使って転移について色々な事が分かってきました。
トランスウェルチャンバーというがん細胞の転移能を調べる、じょうごのような形の装置があります。
培養用のプレートの上にこれを被せます。
このチャンバーの底には、コラーゲンの膜が塗ってあります。
この中にがん細胞を入れて培養すると、がんは偽足を広げてコラーゲン膜を溶かしながら下側に通過していくのです。
この細胞数を数えると転移浸潤の能力が測れるという訳です。

さらに、この状態で、正常の繊維芽細胞を下のプレートで別に培養(共存培養と言います)すると、チャンバー内のがん細胞の転移能が増加するのです。

これはガン細胞が、流通する培養液中のMMP(コラーゲン融解酵素:2/19参照)を利用してコラーゲンを溶かす、というプロセスが亢進するからです。
そして、そのMMPは繊維芽細胞が培養液中に分泌している、という訳です。
なんと、Fidler博士のB16-F10細胞は、MMPを大量に自分で分泌する事が出来たのです。
つづく