Milkの思い出 | がんを治すぞ!

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研究医の挑戦

僕が最初に手術をしたネズミの話です。
当時、骨粗鬆症の研究の為に、卵巣を摘出する手術を勉強する事になりました。
一匹目のラットは、傷口も大きくなってしまい、麻酔からもなかなか覚めず、心配だったので家に連れて帰ってしまいました。
一度、研究室から出した動物を戻す事はできません。
翌朝には元気になったので、卵巣をとっちゃった責任を取って、このラットを飼うことにしました。
名前は”ミルク”です。
最初は長いシッポを気持ち悪がった彼女も、とてもかわいがってくれて帰郷するのに飛行機に乗せて連れて行くほどになりました。
とても大人しくて、やさしい性格のネズミだったんです。
約3年半が経ちました。
ミルクは、腰が曲がり、真っ白だった毛も薄くなってきました。
卵巣をとった為に、老化が明らかに早まったのです。
カルシウムの食事には気をつけていたのですが、、。
歩くのも、よろよろして、ゴホゴホと咳をして、まさに人間の老人と一緒です。
ラットは寿命は普通2年ぐらいですから、ミルクはかなりの高齢だった訳です。
そんな体で、よろよろとこちらに歩いてくるのを見て、心が痛くなりました。
綺麗な真っ赤だった目も、白内障でにごり、ろくに見えていないはずなんです。
5月のある日、僕の手の中で、最後の息をして天国に行ってしまいました。
ずいぶん前の事なんだけど、骨粗鬆症の話を書いていたら、なんだか、思い出してしまいました。