バームクーヘンをいただいた。
名古屋の有名ホテルのもの
しかもラウンドで。
幸い事務所には4人しかいない。
全員一致で
「見なかったことにしよう!」
と、4等分することに。
おいしかった・・・・・・
あの、はむはむした食感がたまらなく好きだ。
バームクーヘンといえば・・・・・
私にはひとかたならぬ思い入れがある。
それは私が生まれて初めて
バームクーヘンを食べたときに遡る。
幼稚園か小学校の低学年の頃だったと思う。
ご学友とひとしきり遊んでお家へ帰った。
いつものようにやさしく
「おかえりなさい。」という母親の声が
かすかにしか聞こえなかったのは
こたつの上に置かれたお皿に
見たこともない物を発見したからだ。
私は無言で近づいた。
大木を輪切りにしたような様相
そこには
長い間、森の歴史を見守ってきたような年輪が・・
でも真の部分がない!
しかも外壁は
雪化粧をまとった富士山のような・・
塗料缶から塗料がこぼれているような・・
何なんだ?これは!
間髪いれずに母親が
「これ、いただいたからたべましょう。」
食べれるのか?
するとワンラウンドのバームクーヘンの
16分の1ぐらいを切って私にくれた。
やけに小さい。
子供だと思ってあまく見てるのか?
手にとって恐る恐る口へ運ぶ。
ゆっくりと食べた。
「はむ。・・・はむ。・・・はむ。はむ。はむ。」
母親が
「どう?おいしい?」
おいちぃ!!
たしかにおいちぃ!
私は
すぐさまこの食べ物の魅力に取り付かれた。
何これ?おいちぃ!もっとちょうだい!
すると母親が
この洋菓子はヴァームクーヘンといって
とっても高級なお菓子なの。
だからいっぺんに食べてはダメなのよ。。
また明日、食べようね。
そうなんだ。
高級なお菓子なんだ。
素直な私は何も疑うことなくそう信じた。
その日の夜も翌日も
私の頭の中は、あの高級なお菓子のことでいっぱいである。
おやつの時間になり
母親に
あの高級なお菓子食べたい!と申し出た。
すると、冷蔵庫から16分の1サイズの
バームクーヘンを出してくれた。
これこれ。。おいちぃ。。
やはりかなり小さいが満足だった。
翌日もおやつの時間が待ち遠しかった。
そして
あの高級なお菓子ちょうだい!と母親に申し出た。
すると信じられない言葉が・・・
「あれはもう昨日全部食べちゃったじゃない~!」
うそだ!うそだ!たべてないやい!
「何いってるのよぉ~。一緒にたべたじゃない」
と、言いながらも母親は確かに動揺していた。
私は目からあふれ出そうな涙を
こらえるのがやっとだった。
残りの4分の3はどうなってしまったんだ?
悲しくて途方にくれた。
変わりに出してくれた揚げドーナツを
無言で食べた。
最近になって母親に聞いた。
残りの4分の3はどうしたのかと。
すると
あまりのおいしさに
申し訳ないと思いながらも
ばれない様に少しづつと
16分の1を食べたが
おいしくて手が止まらず
もう1つくらいもう1つくらいと
実は初日の夜に4分の3を
食べてしまっていたのだという。
そんな、どことなく憎めない母親が大好きである。
でも、それ以来
バームクーヘンを見たら
見なかったことにして
その場で全部食べてしまうことにしている。