team sky のメインスポンサーが2019年を最後に撤退することが数日前に発表され、既にご存知で動揺された方も多いのではないでしょうか?

僕としては近年の自転車競技のトピックとしては一番驚いたネタで、フルームのサルブタモールのゴタゴタの件や、女子シクロクロスのモータードーピングより驚きです。何しろ、スカイだけは何があっても撤退しないと考えていたからです。残念ながら、自転車界でのそんじょそこらのドーピング騒ぎにはもう驚きません。

 

 

今日は僕個人の自転車競技の未来についての考えを記事にします。ハッキリ言ってレースに関しては疎いですし、海外チームが多いだけに外国でどの様な運営形態がとられているかも詳しくありません。そんな中で、一個人が、恒久的に自転車競技界の発展を願って思ったことを書きます。

 

本日の話はこちら↓

 

の動画をご覧になった後で読んだ方が面白いと思います。2倍速にでもしてみれば5分かかりませんのでぜひご覧ください。

 

 

 

 

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チームスカイはご存知の通り金満チームで、チームの年間資金は50億円を超えワールドツアーのチームの中でダントツの1位でした。年間最多勝利数を上げている名門クイックステップも25〜30億円程度の様です。いずれにせよスカイの50億からすればおよそ半額です。

そんな中、チームスカイの撤退です。チームスカイが弱小チームだったり、運営費を払いきれなくなって、衛星放送会社skyが退散するなら話はわかります。しかし、撤退の理由は「自転車競技は割りに合わなかった」、、という事らしいです。

なんとも悲しい話です。無理してでも強くなって、勝利を重ねる事で新たなスポンサーを獲得して、チーム規模を拡大し、抜群に強くなり、広告やグッズ販売(供給機材やウェアなど)の収入で利益を上げるという、ある意味勝利の方程式とされていたやり方が否定されてしまったわけです。

 

勝利数の増加により収益が格段に増える訳ではない事は、今年のクイックステップを見ればわかります。来年からクイックステップはサブスポンサーに変更する様です。

 

つまり、自転車チームにおいて、勝利を重ねる事はスポンサー獲得に若干の影響力があったとしても、チーム運営の資金の面ではほとんど関係ないという事です。当然、クイックステップやスカイ並みにトレックセガフレードやbmcが勝利を重ねていたら、ピナレロやトレックの販売数は大幅に上がり、チーム運営による目に見える成果は出るでしょう。しかし、チームをそのレベルに上げるコストを増加した利益で賄うのは難しいでしょう。

 

だから、極論を言えば、選手が走ることによる広告でのチームの収益は諦めた方がいいのです。今年フロントシングルをレースに持ち込み、あれだけ注目を集めたアクアブルースポーツも、スポンサー撤退の様です。アクアブルースポーツはイギリスの自転車通販サイトで、地名度を上げることによって利益を上げようと考えたチームなのです。ほとんど聞いたことがなかった通販サイトが、ツールにも出てあれだけ有名になって、一般自転車乗りからしたら一番馴染みに深い通販会社がスポンサーの会社が撤退とは、、やはり知名度と収益はあまり関係ない様です。

各チームの建前上の出資目的は広告などによる収益確保ですが一部のチームでは、社長や代表の個人的な自転車会への思入れなど、慈善事業的に出資しているチームも珍しくありません。この事は自転車普及協会の栗村さんもレースの解説中におっしゃっている様です。数年前のティンコフサクソなんかはいい例ですね。

 

チーム運営には金がかかるのです。

 

 

では、実際にどの様にチームならびにレース主催者の収益を上げるか。当然これが問題なわけです。

まず、多かれ少なかれ、現在チームや主催者がレース活動などをすると実際に得られる収入を書き出してみます。

 

  • チームのスポンサーからの収入(スポンサー→チーム運営)
  • 勝利に対する賞金(主催者→チーム運営(→チームメンバー))
  • チームの活躍などによるスポンサーの露出拡大による収益(視聴者など→スポンサー)
  • レーススポンサーからの収入(レーススポンサー→主催者)
  • テレビの放映権(視聴者→(テレビ会社→)主催者
クッソ分かりにくいロードレースの仕組みを図示して見たよ。
オレンジー提供
ピンク ー享受
(チーム、選手がレース主催者から享受される「レース環境」を描き忘れてます。)
 
 
この中で、永続的なチームがほぼ成り立たない理由として、スポンサーへの収益がほとんどないことが挙げられます。利益が出ないことが分かっているのに出資する理由は先の通りです。
これがチームスカイを撤退させた理由ですが、確かにその通りです。スカイ単体ならその出資を許せてもスカイ自体の経営母体が変わった今、親会社はその出費と利益の割合に理解ができなかったのでしょう。ある意味当然ですが。。
 
チーム運営で年俸などを引いて余ったお金があれば、それはスポンサーへの還元金になりますが、チーム単体がレース活動によって得られるお金は、主催者からの賞金しかありませんのでそれは非現実的です。宣伝効果の乏しさは先に述べましたが、チームを維持するスポンサーは、チームを運営することからでさえ利益があげられないのです。配当のない株式を購入する様なものです。資金を垂れ流すだけの投資には意味がありません。
 
つまり スポンサー企業は、チームからでも、視聴者への宣伝でもない、他からの莫大な収益(チーム運営費+利益)が必要になるのです。
 
これがないので困るのですが、ここで僕が一つ思うことがあります。
 
 
それはテレビの放映権に関してです。ツールなどの主催者が、各テレビ局からの放映権をぶんどっている!!中間マージン多過ぎだ!!! とは言いません。レース開催のためのコース確保や整備、警備など金はかかるでしょう。(大手レース主催者 ASOへの放映権ほぼ独占に関しては色々議論されています。)
しかし当然、ここには誰もが目をつけます。先ほどの動画を見るまで知らなかったのですが、去年から開催されているハンマーシリーズに関しては、各チームが放映権を分け合う事による、直接的な収入を見込んで開催された様です。(UCIやASOへの当てつけかと思ってたよ、、笑)
 
しかし、個人的には仮に既存の放映権がレース運営費など、最低限必要な予算を除きスポンサー側へ行き渡ったとしても、十分な収益にはならないと思います。つまり、現在の自転車界の運営がいくら効率化されても収入にはならない、と考えているということです。
 
こうなると、外部からのまた別のスポンサーが必要になります。しかもそのスポンサーは、自転車競技からの収益は見込めず、自らの経営維持の為、支出より多くの収入が必要なのです。そんな何もないところから金を生む事など不可能だと思われがちですが、考え方によっちゃ完全に不可能でもないです。
 
ズバリ、テレビでのコマーシャル収入を本格化すればいいのです。
ツールドフランスは、テレビでの視聴者も含めると世界一観客数の多いスポーツらしいです。そうなると、テレビでの視聴率はかなりのもので、cm収入は莫大なものになります。レース時間も退屈になる程長いので、cmを挟む時間も多くなるはずです。
 
jsportsやdazonとは契約したことがないので(というか、NHKと契約するのが嫌なのでdvd視聴用のテレビしかない)今の放送形態を知らないのですが、放送料を払っていることですのでcmは入らないでしょう。入っていたとしても恐らく民放レベルではcmは入らないでしょう。民放に無駄にお金が集中していることを考え、それと同レベルのcmを挟む。それが世界規模になったらかなりのコマーシャル料は集まると思うのです。全チームが今のskyレベルになっても不思議ではないです。
「え、それやとライブで見れんやん!!」となりますが、ライブに関しては現地観戦者の特権でも悪くないと思います。音楽の演奏会でもそうですが、その場にわざわざ見に来てくださった方々が一番大事なように思います。三波春夫先生の「お客様は神様です」のお言葉の通りです。(この言葉には賛否両論あると思いますが)
自転車業界の持続と、目の前を一度しか通らないのに現地に足を運ぶ「真のレースファン」へのリスペクトを含め、視聴者は多少のcmは我慢したらどうかと思う。
 
このcmによる運営は、自転車とは無関係の企業が自転車とは無関係に「競技を見る人がいる」というだけでスポンサーに就くことができ、cmのスポンサーはノーリスクです。しかも、確実にして莫大な金額が主催者に集中します。そうなったら後はチームに回して、余ったお金をチームスポンサーへ還元すれば、誰も損しない黄金のサイクルが完成します。
 
 
黄金サイクル
 
 
cm収入含む放映権は、全出場チームへの最低配分額を定めつつ、レースの結果によって分配価格を決定すれば、各チームレースの結果という名誉と共に膨大な資金獲得のために優勝のために躍起になるでしょう。個人的には、デジタル放送の発展した今、敢闘賞くらいは視聴者が決めてもいいと思ってますが、視聴者の選ぶ「本レースのベストチーム」なんかを作って放映権の分配率を上げれば、勝つためだけに消極的なレース運びをするゴミのようなクソチーム(重複表現)もいなくなるでしょう。ロードレース自体が楽しくなるのです。また、視聴者としても、自分の選んだチーム、自分の応援しているチームを確実に応援でき、チームの繁栄に投票するだけで貢献できるなんて、こんなに喜ばしいことはありません。
 
ロードレースは持続可能になる、レースは楽しくなる、視聴者の幸福度も上がる、我ながらなんて素晴らしいシステムなんだと思うなぁ。
 
活発なレース運びは見てて感動するよな〜
 
 
 
あー、でもこのシステムだと大スポンサーである一般企業から直接資金を受け取るテレビ局がつけあがるかもなー。それは嫌だな。。いや、でもレース主催者の言値に従わなかったら映像の提供を止めればいいから、、、でもすると利益は上がらなくなる。。やっぱりテレビ局が一人勝ちする可能性があるな。
ま、詳しいデメリットの検証と割合は当事者に頭をひねってもらうとして、如何だったでしょうか?
欧州のテレビ事情は全くわからないけど、恐らく基本は全部ライブ中継だと思う(そうでなかったとしてもレースの合間に洗剤やクルマのcmが入る事は、、、多分ないよね??)から、今こそ試しにでもやっていればと思います。
とにかく試しにやってみる、これが大切。栗村さん、如何ですか?