コメントのお返しです。コメントありがとうございます。

 
 
Mavicのksyriumを使ってる方で、手組みホイールが気になっている方のようです。キシリウムのパーツを利用して手組みが組めないか、、とのご質問です。
 
僕も全く同じことを思っていた事があったので記事にしました。
わかる範囲で、思う事を書きます(^^)
 
 
 
キシリウムといっても、kisiriumu elite や ksyrium pro carbon など多岐に渡りますので、今回はアルミリムのキシリウムという事で話を進めます。
 
 
 
 
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優秀なキシリウム(後述)をバラして組みなおす必要性は置いておいて、、質問への結論から言います。
 
キシリウムのパーツを流用し、手組みした事がないから分からない、、と言うのが一番正確な回答ですが、ほとんど同じ事を過去に考えた事があるので、その時の結論を書きます。
 
 
残念ながら、リムやハブ、全てにおいて手組みへの流用は不可能だと思います。
 
もう少し突っ込むのなら、「加工なしで」組み替えるのは不可能ではないかと思います。(加工して可能になるかは別)
 
 
 
 
まずリムの流用が不可能だと思う理由を書きます。
キシリウムは、完組みホイールの中でもかなり特異な存在です。組み方はもちろん、一番他と異なる点はリムに直接ネジを切っている所です。
スポークがスチールだろうがアルミだろうが、普通のホイールなら、ニップルがリムに引っかかっているだけのところを、ネジで留めているのです。
 
 
 
これの何が問題かと言うと、まず、普通の手組みで用いられるニップルが使えません。キシリウムで用いられているネジ付きのニップルは、通常のニップルより径が大きいため、普通のニップルはリムに引っかからないと思います。
 
 
 
 
↑こーゆー事です。
 
 
では、リムとニップルを流用して、スポークを変えよう!と思ってもそうはいきません。
 
 
 
 
 
↑の絵は、左が普通のスポークとニップルで、右はキシリウムのそれです。
 

実物はこのような感じです。(Mavic公式から引用)
 
 
片側にネジが切ってある普通のスポークと、規格が全く異なるのです。(独自規格なので他メーカーのものは存在しません)
 
 
よって、リムとニップルはセットでなくてはならず、ニップルとスポークもセットでなくてはいけません。たがら結局、リムとスポークはセットで使わなくてはならなくなります。そして、その場合に使用可能となるハブは、スポークの長さやスポークのハブ側の形状からして、専用ハブしか無いのです。
 
 
どれか1つでも流用しようとすると、全てを使わなくてはならなくなるので、組み替えは不可能、、となってしまいます。
 
 
 
 
コレが普通の完組みホイールだと話は別です。
ニップルに汎用品を用いている場合はニップルもスポークも変更可能なので、当然ハブも変更可能となり好きなパーツで好きな組み方ができます。
完組みホイールのパーツの流用が不可能なわけではなく、キシリウム含むMavicのこの構造のホイールの組み換えが不可能なのです。例えばシマノやzippなどは汎用パーツと組み換え可能です。Mavicでも、コスカボやキシリウムのカーボンモデルは組み換え可能です。
ksyriumなどと近くして組み換えが困難(不可能?)なものは、フルクラムのレーゼロや、カンパのシャマルやユーラスです。
 
 
 
 
 
では、ハブだけでも使用可能か考えます。
 
結論は、不可能ではないが組み替える必要がない。。という感じです。
 
というのも、完組みホイールは大抵の場合、ホイールをまるまる専用設計するので、そのリムや組み方に合ったハブを設計するからです。スポークの飛び出す角度が決められた専用設計のハブですので、他の組み方はできません。
例えば、キシリウムと似たようなリムを買ってきて、同じようなスポーク長のスポークで同じ組み方をすれば使用可能だと思います。しかし、専用設計品をわざわざバラして汎用品で組み替えるのは、全くといっていいほど意味がありません。
 
 
 
同じホイールメーカー内でも組み方が変わることはあります。
 
 
写真はキシリウムと同じマビックのコスカボです。これはフリー側がタンジェント組(クロスしてる組み方)であり、フリー側にラジアル組(クロスしていない組み方)が採用されており、イソパルスとは異なります。
 
 
たまたまMavicでは、今年モデルから全てのモデルでイソパルスが採用されていますが、Mavic=イソパルス ではありません。
 
イソパルス組されたホイールに限らず、完組みホイールで用いられる多くのハブは、その想定された組み方にしか対応していません。よって、メーカー、モデル問わず、ほとんどの場合で完組みホイール用のハブの流用は不可能です。
 
 
対して手組み用のハブは、どのリムハイトのどんな組み方にも対応できるように汎用性の広いハブ設計になってます。
 
手組み用のハブ
 
手組みホイールでは、Jの字状に曲がったスポークをハブに空いている穴に通すので、使うリムや組み方などにより変化するスポークの角度に柔軟に対応する事ができます。
 
 
 
 
キシリウムの場合、
リムはニップルとの専用設計のため使い回し不可
スポークはニップルとの専用設計で使い回し不可
ハブは組み方がただ1つに固定されるから不可能
 
と、なってしまいます。アルミのキシリウムでなければ、リムは使いまわせました。(スポークはハブの寸法や組み方によって変わるのでほとんどの場合使いまわせません。)
 
 
 
 
 
 
 
 
しかし、これではあまりに面白くありません。
 
Mavic公式より
 
実際はこうなってるらしいのですが、
 
 
 
このようにドリルでネジが切ってある部分を飛ばして、
 
 
 
 
ワッシャーを入れれば普通のニップルで組めるのでは??
と、思った事がありますが、発想が危険な上、組めるか分からないため、流石に買うのははばかられました。
 
キシリウムをお持ちの方もやめた方がいいです。不可逆な作業はやらないに越したことはありません。
オススメもしません。自分でやったことがないので。(いずれやってみる気はありますけど)
 
 
 
 
 
 
 
と、、こんな感じです。
基本的に完組みホイールのパーツ流用はリム以外不可能です。キシリウムに関してはリムも不可能と思った方がいいです。
 
 
 
それから一つお伝えしたい事があります。
 
完組みホイールは、本来は手組みホイールに不可能な性能を出すために開発されたものです。
例えば、手組みホイールや多くの完組みホイールに採用されている一般的な汎用ニップルを用いたホイールでは、リムにスポークが引っかかっているだけなので、ペダルへの入力によってニップルとリムの位置が厳密にはズレます。これが力の伝達効率上よろしくないので、全てをカーボンで固めたライトウェイトみたいの(全て固まってるホイールをコンポジットホイールと呼びます)が誕生しました。あれは位置がずれるはずがありません。
 
ここでキシリウムを見てみると、なんとスポークがリムにネジ留めされているのです。つまり、ニップル付きのスポークのはずが、擬似的にコンポジットホイールとなっているのです!!! これがキシリウムが、同じ完組みホイール間でも一線を画しているポイントです。アルミスポークでも、イソパルスでもなく、この擬似コンポジットが、キシリウムが重量的に飛び抜けていなくとも、素晴らしいパフォーマンスを出す理由だと思ってます。この構造は、他のどのメーカーでも行なっていません。
 
イソパルス、強烈な穴振りリム、アルミスポーク、そして擬似コンポジット、、、全てを専用設計にしなければ成せる技ではありません。手組みでは決して出来ない芸当です。
 
 
手組みホイールと似たような構造の「エセ完組みホイール」が増えている中、手組みへの組み換え性の低さは、完組みホイールの称号です。構造的には世界で一番素晴らしいと思っています。ksyrium、是非とも大切にしてください!!!
 
 
 
 
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手組みホイールに関しては、まずは組みやすいものから順々に組んでいく事をお勧めします。
初めての試みに大きな投資はしたくないものです。できるだけコストを抑える事を考えたら、シマノのハブを使うのが一番だと思います。シマノのハブはカップアンドコーンで、ハブのチューニングの練習にもなります。(ローグレードモデルは11sが使えないので注意)
 
リムに関しては、組みやすいマビックのオープンプロをお勧めします。それなりに軽いのもいいです。もう少し低価格のものですと、tniのアルミリムが軽くて安くて精度もなかなかです。
 
組み方は、初めての方こそr、、、おっと「自分で選ぶ」という手組み最大の楽しさを奪うところだった笑
 
 
 
 
たまたま超初心者向けに手組みの連載記事を書いています。需要があるようなので第一回目をアップロードします。
よければお読みください!!  こちら→手組み講座 目次
 
 
 
 
 
 
「邪悪なるホイール」とは、一部のホイールマニアによる「完組み用パーツで手組みしたホイール」の呼称です。大多数の方は知らない言葉ですし、ホイールに心を奪われた異端者の証拠ですので、行きつけのショップなどで声高らかに発しない方がいいでしょう。ホイール○チ○イと思われるかも知れません。
元ネタ:大阪の自転車ショップ「のむラボ」のブログ 邪悪なるコスモスさんと レーシングゼロカーボンさん より。
 
 
 
 
 
大変長くて分かりにくい説明ですみません。不明点などありましたらコメント頂ければ幸いです。