立春も過ぎ一年で一番寒い時期がやってきました。ただこの時期の寒さは来る春に向けての期待がある分、なんとなくワクワクするのはキットPMだけでしょうか。今年は、エルニーニョが発生しているため暖冬との予報でしたが、このような年には南岸低気圧による大雪が発生することが多いようです。特に大都市は雪の影響を受けやすいので心配です。2014年の大雪では各地で交通渋滞が起き様々な影響が出たのは記憶に新しいところです。今年は大変なことにならなければいいのですが。
もう一つ、今日は「建国記念の日」です。これは初代天皇である神武天皇が即位したと言われている日で、昔は「紀元節」と呼ばれていました。くしくも2週間前に神武天皇御陵である橿原神宮へお参りしてきたので、いつもの年とは違い感慨深いものがあります。皆さんも3連休の最終日健やかにお過ごしください。
■ビジネスアナリシス
●ビジネス・アナリシスとビジネス・アーキテクチャ
前回ビジネスアナリシスの意義と活動プロセスについて簡単なおさらいをしました。今回はビジネスアナリシスのコア・コンセプトについて説明したいと思います。前回ご紹介したコア・コンセプトは次のものでした。
1.ニーズ 2.チェンジ 3.ソリューション
4.ステークホルダー 5.価値 6.コンテキスト
キットPMはこの1.2.3.はビジネスアナリシス活動を実施するための動機となるもので、4.5.6.は活動から生み出されるものと考えています。前半のコンセプトから後半のコンセプトにつながり、さらにそこから前半の動機が発生することになります。この繰り返しがビジネスアナリシス活動の本質となります。
「1.ニーズ」は現状のビジネス課題です。カイゼンすべきビジネスポイントです。「2.チェンジ」は現状のビジネス活動に変革をもたらすものです。「3.ソリューション」はチェンジを実現するための手段です。
「4.ステークホルダー」は、ビジネスアナリシス活動に関係する個人や組織です。「5.価値」はビジネスアナリシス活動を通して得られるメリットです。「6.コンテキスト」は、チェンジを行う環境と結果の姿を説明するストーリーです。
これら6つのコア・コンセプトの具体的な内容はそれぞれが影響しながら変化していきます。ビジネスアナリシスの活動はこのコンセプトを常にチェックしながら進め、活動の本質がぶれないよう監視することが重要になります。
ビジネスアナリシスのエッセンスについて2回に渡ってご紹介しました。最後に言っておきたいのは、ビジネスは変化し続ける必要があり、その変化を正しいものにし、無駄を省き効率的に進めるための活動がビジネスアナリシスだということです。つまり一過性の活動ではなく、継続的な活動となります。
では「ビジネスアーキテクチャ」はビジネスアナリシスの活動とどう関係してくるのでしょうか。ビジネスアーキテクチャもまた、現状のビジネス活動を分析し、より良い変化をもたらすためのソリューションに繋げていく活動です。
違いを明確に指摘するのは難しいのですが、キットPMが学んだ範囲では2つの大きな違いがあるように思えます。
一つはビジネス変革のアプローチの方法です。ビジネスアナリシスのスタートは「チェンジ(変革)」の必要性から始まります。組織にとってどのような「チェンジ」が必要なのかを考え示すのが活動の目的です。そのためビジネスの現場でヒアリング等を通じて実態を調査し、様々なモデリング手法で分析し、チェンジのため解決すべきビジネス課題の本質を明確にして行きます。特徴的なのは、アナリシス活動そのものを構造化し計画的に実行することを重視していることです。
一方ビジネスアーキテクチャの活動は同じ「チェンジ」をめざすのですが、「チェンジ」のあるべき姿について考えるのはビジネスアーキテクチャの活動の前の段階で、その想定があることがビジネスアーキテクチャの前提となるようです。もっともこの部分は他の意見もあり議論の余地があるようですが。
さて、どちらのBAもビジネス分析を通して「チェンジ」の本質を追究しようとするのは同じですが、ビジネスアーキテクチャの場合はその方針というか方向性がある程度見えている状況で、それを実現するためにどうすればもっとも効率が良いのかを考える手法だと考えます。
そのためビジネスアーキテクチャでは前提として、顧客のバリュー(価値)とバリューを実現するためのプロセスであるバリューストリームの存在が欠かせません。バリューストリームというのは、あるステークホルダーにとっての「価値」を創造するためのプロセスを現すものです。プロセスの大きな塊をバリューストリームの「ステージ」と呼びます。幾つかのステージを作業していくことによって、最終的に価値が作られることになります。このバリューストリームをどうやればスムーズに効率よく実行できるのかを考えるのが「ビジネスアーキテクチャ」となるとキットPMは考えます。
この構図から考えると、ビジネスアナリシスとビジネスアーキテクチャの関係はアナリシスが誰かにとっての「価値」をデザインし、アーキテクチャがその価値をどのように正しく、効率的に実現するかをデザインすることになるかと考えます。
言い方を変えると、アナリシスはビジネスの「未来」を描き、アーキテクチャはビジネスの未来に向かう「構造」を提供するものだと思います。
この2つのBAの関係性はご理解いただけたでしょうか。次回もこの両者の関係についてもう少し掘り下げて行こうかと思います。