29回 果たしてSIerと顧客はプロジェクトを共有できるか? -6- | キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

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■先日の土曜日、朝から近所のジムに行ってました。健康のためと体力作りで週に数回通っているのですが、結構ハードでも終わったあとは気持ちのいいものです。でっ、いつものようにウォーキングをしていると急に吹雪いてきました。ジムは見晴らしのいい高台にあって、普段は遠くの山々を見ながらウォーキングするのが楽しいのですが、舞い散る雪を見ながらのウォーキングもなかなか乙なものでした。暖房の効いた室内で外の寒さを目で感じながら汗を流しているという、考えようによってはかなり贅沢なシチュエーションです。今年最後の週末、皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか。

■さて、本ブログの方も大分煮詰まってきました。前回、発注者側の責任を果たすことがいかに重要かについて考えました。というか、自己の責任範囲を自覚できない発注者がまだまだ沢山いて、それがプロジェクトの危機の元になっているということでした。

 翻って、SIer側はどうでしょうか。SIerの責任とは第一にクライアントの利益を守ること、次が自社の(正当な)利益を確保することです。凄く当たり前のことですがこれが難しいわけですね。時々?順番が逆になります。なぜでしょうか?何が難しくしているのでしょうか。それは認識の””です。

■プロジェクトのライフサイクルを通じて、両者の齟齬が発生するタイミングというのがいくつかあります。まず、見積もりの段階です。次が実施中の問題発生時で、その次がユーザーテスト段階での未確認事項発生時、最後に検収時となります。全てのタイミングに共通しているのは、責任と利益が天秤にかけられるということです。

見積もり段階では、売り上げに対する会社上層部からの圧力と目標達成の責任が天秤にかけられます。また、クライアントの予算(値段設定)も考慮する必要があります。そうなると、クライアントの要求事項を精査せず、予測されるリスクを過少評価し無理な見積もり金額を提示することになり、両者の認識に差が発生します。つまり、スタートの時点から”オン・ザ・エッジ(がけっぷち)”状態となります。

 ただ、前々回述べたように経済産業省のガイドラインもあって、大手SIerは要件定義、基本設計、開発、テストなどのプロジェクトフェーズ毎の分割契約を行うように変わってきています。責任範囲を細分化し、見積もり精度を向上することで両者の齟齬を少なくするということだと思います。でも、程度の差こそあれ、先ほどの認識の差が完全に解消されるわけではありません。

■また、プロジェクト運営中に問題が発生するのは当たり前です。そのとき双方の問題解決のアプローチの食い違いのため、うまく問題解決に結びつけることができない場合があります。

 問題解決の重要なポイントは問題の根本にたどり着けるかどうかということです。正しい対策は正しい現状認識の上にしか存在しません。問題の本質を追求して理解することなく、表面的というか対処療法的な対策で満足すると、遅かれ早かれ同じ問題がもっと性質(たち)悪くして登場することになります。 

 つまり問題解決に対する考えや手法を両者で共有し、同じ目線で対策を見つけることができるかが、とても大切なわけです。しかし、往々にして対策コストや大人の事情が全面に出て本質的な対策が取れないことがあります。あぁ、この責任はSIerだけではなく双方にあるわけですが、プロジェクト運営に慣れたSIerがクライアントの目的を優先してどこまでリードできるか、ということが問われるのかもしれません。

■経験的によくモメるのが、最後のユーザーテストフェーズになって仕様の問題が発覚することです。SIerにしたらちゃんと承認をもらった(はず)の仕様が、見える形になってエンドユーザーの目に触れたとたんにダメだしをもらうことがあります。

 当然、一旦仕様は承認されているので、クライアント側の責任なのですが、クライアントをよく理解していればSIerとしてこのような問題を予想して事前に手を打つことが必要です。リスク管理ですね。ことが起きてクライアントにの責任を追求しても、意味がありません。プロジェクト運営のプロであればそれも責任の範疇になります。

このように、クライアントとSIerは簡単に協力関係から対立関係に変化します。それはお互い果たすべき責任を明確に認識していないことと、最終目的がそれぞれ異なるために起きるのです。

■理想的には、双方の目的を共有し両者が対等の立場で、それぞれの責任を果たし、一つのプロジェクトを成功させることになります。簡単なことではないですが、少しでも理想に近づくために行動するのも、キットPMの責任だと考えています。

■このシリーズはこれまでの最長記録の6回となりました。まだまだ、考えたいこと、考えないといけないことがありますが、あまり長くなると飽きてしまうので次回から目先を変えて、新しいテーマでお送りします。