もしドラゴンの姿で人間の住む世界に行けば、魔女も人間も恐れを抱き、それだけならまだしも、ドラゴンは殺されるかもしれません。



 それでもドラゴンは、せめて花だけでも魔女に届けたいと思いました。それで、とがった爪の先で花を持ち、月の明かりをたよりに魔女のもとへ向ったのです。



 魔女は花の手入れをしていました。ドラゴンにもらった花はまだ咲いていたのです。それを見たドラゴンは、思わず、彼女の前に姿を見せてしまいました。



 魔女はドラゴンを見て恐れを抱きました。しかし、とがった爪の先の花に気づくと、ようやく、それまで眠っていた「なにか」がわかりました。そして迷わず、彼女はドラゴンの背に飛び乗ったのです。