「家事に専念します」

 そう言った時、周囲の表情は皆同じでした。言葉を失ったのです。


 男たちのほとんどは「バカか」とあきれ、女たちのほとんどは「大変ね」と哀れみ、どちらからも好意は持たれませんでした。それでも、家事に専念しようと決意しました。


 どうせやるなら、徹底的に。そんな気持ちから、「職業は主婦業です」と公言。所得が下がるのは覚悟のうえ、蓄えを頼りに、会社へは週一出勤にしました。首の皮一枚つながって、いざ主婦業へと乗り出しました。


 しかし決意はしたものの、家のなかのどこになにがあるのかもわかりませんでした。ですから、まずは家のなかの片付けから始めました。