映画レビュー:『Evidence』
たまには作品レビューみたいなものでも書こうと思い立ち、
さて何にしようかと考えてピックアップした作品群の中から今回は、
先日見てけっこう面白かったこの作品を取り上げることにしました。
『Evidence』(2011年/米)
監督:Howie Askins
主演:Ryan McCoy、Brett Rosenberg、Abigail Richie、Ashley Bracken
本作は劇場公開なしのDVDスルーだったようで、
三月にイギリスでDVDリリースされたばかりの新作。
今のところ日本未公開です。
最近では粗製乱造されている感もあるPOVモキュメンタリー映画。
POVとかモキュメンタリーとか何じゃらほい? という方は、
POV=主観映像、モキュメンタリー=似非ドキュメンタリー、と解釈しておけば大体OKです。
まだよく分からんと言う人は、
『食人族』(1980年)『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)
『パラノーマル・アクティビティ』『Rec/レック』(共に2007年)
『クローバーフィールド/HAKAISHA』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(共に2008年)
『トロール・ハンター』『ラスト・エクソシズム』(共に2010年)等を見てください。
『ほんとにあった!呪いのビデオ』とかでもいいですw
こういったPOV映画は、限りなく無予算で技術も才能も無くても
それこそカメラ一台あればとりあえず撮ることができてしまうため、
なんじゃこれと思うような、どうしようもない作品もあったりして
当たり外れが激しいわけですが、本作はなかなかの拾い物でした。
予告編
予告編からも分かるとおり、
もう見るからに安っぽい手持ちカメラのビデオ映像で、
一見した感じ「この手の映画はもういいよ」と思わされますが、
そのネガティブな印象を良い意味で裏切ってくれる
スーパー・ハイテンション・ムービーなのですよ、これが。
ライアン、ブレット、アビー、アシュレーの若者四人が
キャンピングカーに乗って山へキャンプに行きます。
ブレットはキャンプ初体験。
そこでライアンは一部始終を撮影してドキュメンタリーに仕立て上げる腹積もりですが、
他の三人は撮影にはあまり乗り気じゃない様子。
そんなのお構いなしに、口笛吹きつつノリノリで撮影するライアン。
ちなみに本作は、出演者の名前がそのまま役名になってます。
でまぁ、人気のない山の中でテントを張って、ひと晩過ごします。
なんだかんだいって若い恋人同士でキャンプは楽しいものです。
ライアンがゴリラの着ぐるみで皆を驚かせたり和気あいあいと楽しんでいると、
森の奥から何やら動物の咆哮みたいなものが聞こえてきます。
「熊か?」「コヨーテじゃないか?」と四人はビビってテンション下がりまくり。
その後は何事もなく朝を迎えます。
上空にはヘリの飛行音。 ←伏線
四人で山を散策していると、渓谷で何やら真っ黒な生物を目撃。
「なんだあれ?」と追いかけますが、遠方だったためすぐに見失ってしまいます。
↓この右側の岩場の黒いのがそれ
そして二日目の夜。
皆で焚火を囲んでいると、またもや昨晩と同じ咆哮が聞こえてきます。
何かが走り回る音も聞こえ、みんなすっかりビビってます。
そこへいきなり、「よう!」と一人の男が声をかけてきました。「俺も焚火に当たらせてくれよ」
誰もいない人里離れた山の中だと思っていただけに、
突然の第三者の出現、それも怪しげなオッサンとあって、さらに一同のテンションは下がります。
オッサンは腰に銃を携えています。「迷子の犬を見なかったか?」
もちろん一行は見てません。オッサンは酒をひと飲みすると立ち去りました。
「銃を持ってたぞ! 山岳ガイドじゃないだろ、なんだあいつ?!」
ブレットは初めてのキャンプでイヤな思いをして、すっかりナーバスになっており、
夜が明けたらすぐに帰ろうということになります。
テントで眠っていると、アビーの悲鳴が! 外から何かがテントを揺らしたという。
周囲の様子を窺うライアンは、木に文字が刻まれているのを見つけます。
ライアンはカメラを置いて、怯えるアビーに寄り添う。
キャンプの周囲を咆哮を発する何モノかが走り回り、カメラにぶつかりました。
ここからしばらくは、慌ててカメラを拾ったアビーが撮影者です。
ライアンは声の主を追いかけて行ってしまいました。
残った三人はブレットの先導でとにかくここから離れることにしますが、
咆哮を発する生物が追いかけてきます。
三人は全力疾走して、キャンピングカーまで辿り着き、車内に逃げ込みます。
追ってきた何かが車の横から上から体当たりをかましてきます。
そこへライアンが戻ってきました。
「とにかくすぐ帰ろう」と言うブレットたちですが、
襲撃してきたものの姿を見ていないライアンは、
「落ち着け。車のキーはテントに置いた荷物の中だ。朝になったら取りに行こう」
とカメラを受け取り撮影を続けます。
「朝まで待てるかよ!」とブレット。ごもっともです。
そして朝。目を覚ますとブレットの姿が無い。
恋人が消えたことでアシュレーはすっかり不安で苛立ってます。
ともかくライアンたち三人は歩いてテントへと戻ります。
テントに置いていたブレットのリュックが無くなっているので、
彼もここに来たことは間違いありません。
とにもかくにもテントを畳んでキャンピングカーに戻ってくると、
なんと車は荒らされてブッ壊されてます。なんてこったい!
笑いながら駆けていく裸の男。たぶんコイツが車を荒らした犯人です。
走って追いかけるライアンは、その途中、ブレットの靴が落ちているのを見つけます。
拾い上げると……なんとそれは足首ごとちぎれていたのです
思わず嘔吐するライアン。
ポツンと置かれたブレットのリュックも発見。周囲には人の気配はありません。
キャンピングカーに戻ったライアンはカメラをアビーに託すと、
「ブレットを助けに行く」と再び外へ。
男たちが戻らないまま夜になり、ついに黒い毛むくじゃらの怪物の襲撃が始まります。
怪物は車にバンバン体当たり。ついには窓を割って入って来ちゃいます。
堪らず外へ逃げ出したアビーとアシュレーは、追いかけてくる怪物から全力で逃げます。
この手のPOV映画に付きものの「こんな時にまで何で撮影してんだよ」
という突っ込みはヤボというものです。
ここからラストまでの30分間、本作はノンストップで駆け抜けます。
普通にここまで見ていると、若者たちと謎の怪物との攻防戦になりそうなものですが、
そんな予想を裏切って、とんでもない方向へ突き進みます。
何が起こってどうなるのか、この続きはぜひ実際に本編を見て欲しいところ。
今後、日本でもリリースされる可能性が無いとはいえないので、
このあとの展開はここでは伏せておくことにします。
(この手の映画は本国から一年以上遅れて忘れた頃に日本公開されるパターンがよくある)
ネタバレしてもいいから、とりあえず最後まで話を教えろや、
という人だけ引き続きレビュー後編をご覧ください。
さて何にしようかと考えてピックアップした作品群の中から今回は、
先日見てけっこう面白かったこの作品を取り上げることにしました。
『Evidence』(2011年/米)
監督:Howie Askins
主演:Ryan McCoy、Brett Rosenberg、Abigail Richie、Ashley Bracken
本作は劇場公開なしのDVDスルーだったようで、
三月にイギリスでDVDリリースされたばかりの新作。
今のところ日本未公開です。
最近では粗製乱造されている感もあるPOVモキュメンタリー映画。
POVとかモキュメンタリーとか何じゃらほい? という方は、
POV=主観映像、モキュメンタリー=似非ドキュメンタリー、と解釈しておけば大体OKです。
まだよく分からんと言う人は、
『食人族』(1980年)『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)
『パラノーマル・アクティビティ』『Rec/レック』(共に2007年)
『クローバーフィールド/HAKAISHA』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(共に2008年)
『トロール・ハンター』『ラスト・エクソシズム』(共に2010年)等を見てください。
『ほんとにあった!呪いのビデオ』とかでもいいですw
こういったPOV映画は、限りなく無予算で技術も才能も無くても
それこそカメラ一台あればとりあえず撮ることができてしまうため、
なんじゃこれと思うような、どうしようもない作品もあったりして
当たり外れが激しいわけですが、本作はなかなかの拾い物でした。
予告編
予告編からも分かるとおり、
もう見るからに安っぽい手持ちカメラのビデオ映像で、
一見した感じ「この手の映画はもういいよ」と思わされますが、
そのネガティブな印象を良い意味で裏切ってくれる
スーパー・ハイテンション・ムービーなのですよ、これが。
ライアン、ブレット、アビー、アシュレーの若者四人が
キャンピングカーに乗って山へキャンプに行きます。
ブレットはキャンプ初体験。
そこでライアンは一部始終を撮影してドキュメンタリーに仕立て上げる腹積もりですが、
他の三人は撮影にはあまり乗り気じゃない様子。
そんなのお構いなしに、口笛吹きつつノリノリで撮影するライアン。
ちなみに本作は、出演者の名前がそのまま役名になってます。
でまぁ、人気のない山の中でテントを張って、ひと晩過ごします。
なんだかんだいって若い恋人同士でキャンプは楽しいものです。
ライアンがゴリラの着ぐるみで皆を驚かせたり和気あいあいと楽しんでいると、
森の奥から何やら動物の咆哮みたいなものが聞こえてきます。
「熊か?」「コヨーテじゃないか?」と四人はビビってテンション下がりまくり。
その後は何事もなく朝を迎えます。
上空にはヘリの飛行音。 ←伏線
四人で山を散策していると、渓谷で何やら真っ黒な生物を目撃。
「なんだあれ?」と追いかけますが、遠方だったためすぐに見失ってしまいます。
↓この右側の岩場の黒いのがそれ
そして二日目の夜。
皆で焚火を囲んでいると、またもや昨晩と同じ咆哮が聞こえてきます。
何かが走り回る音も聞こえ、みんなすっかりビビってます。
そこへいきなり、「よう!」と一人の男が声をかけてきました。「俺も焚火に当たらせてくれよ」
誰もいない人里離れた山の中だと思っていただけに、
突然の第三者の出現、それも怪しげなオッサンとあって、さらに一同のテンションは下がります。
オッサンは腰に銃を携えています。「迷子の犬を見なかったか?」
もちろん一行は見てません。オッサンは酒をひと飲みすると立ち去りました。
「銃を持ってたぞ! 山岳ガイドじゃないだろ、なんだあいつ?!」
ブレットは初めてのキャンプでイヤな思いをして、すっかりナーバスになっており、
夜が明けたらすぐに帰ろうということになります。
テントで眠っていると、アビーの悲鳴が! 外から何かがテントを揺らしたという。
周囲の様子を窺うライアンは、木に文字が刻まれているのを見つけます。
ライアンはカメラを置いて、怯えるアビーに寄り添う。
キャンプの周囲を咆哮を発する何モノかが走り回り、カメラにぶつかりました。
ここからしばらくは、慌ててカメラを拾ったアビーが撮影者です。
ライアンは声の主を追いかけて行ってしまいました。
残った三人はブレットの先導でとにかくここから離れることにしますが、
咆哮を発する生物が追いかけてきます。
三人は全力疾走して、キャンピングカーまで辿り着き、車内に逃げ込みます。
追ってきた何かが車の横から上から体当たりをかましてきます。
そこへライアンが戻ってきました。
「とにかくすぐ帰ろう」と言うブレットたちですが、
襲撃してきたものの姿を見ていないライアンは、
「落ち着け。車のキーはテントに置いた荷物の中だ。朝になったら取りに行こう」
とカメラを受け取り撮影を続けます。
「朝まで待てるかよ!」とブレット。ごもっともです。
そして朝。目を覚ますとブレットの姿が無い。
恋人が消えたことでアシュレーはすっかり不安で苛立ってます。
ともかくライアンたち三人は歩いてテントへと戻ります。
テントに置いていたブレットのリュックが無くなっているので、
彼もここに来たことは間違いありません。
とにもかくにもテントを畳んでキャンピングカーに戻ってくると、
なんと車は荒らされてブッ壊されてます。なんてこったい!
笑いながら駆けていく裸の男。たぶんコイツが車を荒らした犯人です。
走って追いかけるライアンは、その途中、ブレットの靴が落ちているのを見つけます。
拾い上げると……なんとそれは足首ごとちぎれていたのです
思わず嘔吐するライアン。
ポツンと置かれたブレットのリュックも発見。周囲には人の気配はありません。
キャンピングカーに戻ったライアンはカメラをアビーに託すと、
「ブレットを助けに行く」と再び外へ。
男たちが戻らないまま夜になり、ついに黒い毛むくじゃらの怪物の襲撃が始まります。
怪物は車にバンバン体当たり。ついには窓を割って入って来ちゃいます。
堪らず外へ逃げ出したアビーとアシュレーは、追いかけてくる怪物から全力で逃げます。
この手のPOV映画に付きものの「こんな時にまで何で撮影してんだよ」
という突っ込みはヤボというものです。
ここからラストまでの30分間、本作はノンストップで駆け抜けます。
普通にここまで見ていると、若者たちと謎の怪物との攻防戦になりそうなものですが、
そんな予想を裏切って、とんでもない方向へ突き進みます。
何が起こってどうなるのか、この続きはぜひ実際に本編を見て欲しいところ。
今後、日本でもリリースされる可能性が無いとはいえないので、
このあとの展開はここでは伏せておくことにします。
(この手の映画は本国から一年以上遅れて忘れた頃に日本公開されるパターンがよくある)
ネタバレしてもいいから、とりあえず最後まで話を教えろや、
という人だけ引き続きレビュー後編をご覧ください。