ハンカチか、ミニタオルの準備を・・・します。

 

【おことわり】

こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。

ラストまでの完全ネタバレです。

なお、扱う内容も、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。

誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦

いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。お願い

 

 『猟罪図鑑 ~見えない肖像画~

 猎罪图鉴(獵罪圖鑑) / Under the Skin 

 2022年(中国)3/6~ 3/16, 2022

 45分×全20話 

 脚本: Jia Dong Yan、 Wu Yao

    演出: Xing Jian Jun

 

前記事未読の方は、こちらから

#13-1 #13-2 #13-3 

 

 #EP13-4

 

~北江分局 ~

 

呆然と憔悴しきった様子で戻ってきた沈翊を見て、足を止め、

廊下を譲る刑警隊のメンバーたち。

 

すでに、沈翊の先生が亡くなったことは、周知のようね。

 

~遺体安置所~

ロンユエ(声)<気管・気管支・体腔内に、大量の血泡が認められたわ。両肺は膨張していて、切開すると、泡沫液が大量に流出。頭部・顔面の浮腫と髄膜のうっ血も確認できた。これらは全て、生前に溺れた時の特徴と一致するわ。殺害を疑われるような所見は見当たらない。自殺で間違いないわ

 

すでに、ロンユエから説明を受けた沈翊。

 

引き出された安置台。

 

ゆっくりと近づき、白い布を剥がす沈翊。

 

沈翊「こんなに、年を取って・・・」

ポロリ、と涙を流しながら、許先生の白くなった髪に触れる沈翊。

沈翊「いつのまに・・・こんなに・・・」

 

まるで、本当の肉親の死に立ち会ったかのような沈翊。

それしか、かける言葉がないのね。

 

~沈翊の部屋の前の廊下~

 

部屋の中では、真っ白なキャンバスの前で、俯いたまま、座っている沈翊。

そんな沈翊の様子を、廊下から見ているロンユエと杜城。

 

ロンユエ「とても仕事が出来る状態じゃないわ。今日はもう帰らせてあげて」

 

杜城「奴の気持ちはよく分かる。七年前、俺も同じだった。」

 

杜城を見るロンユエ。

ロンユエ「あなたとは違うわ」

・・・沈翊は、(あなたと違って)繊細だから・・・って言いたかったのかな。

 

でもね、杜城も杜城なりに、繊細な部分もあるのよ。

わかりづらいかもしれないけど。

それを、沈翔はちゃんとわかってる。

沈翔は初対面のあの日、怒りの奥底の、雷隊長を想う杜城の本質を見て、心を撃ち抜かれたからね。

そして今、杜城は、沈翔の哀しむ姿を見て、我が事のように心を痛めている。

この絆は、見た目以上に固い。

 

黙って、立ち去るロンユエ。

 

沈翊の後ろ姿をじっと見つめている杜城。

 

ここで、明かされる事実。

許先生が、ここに、沈翊を訪ねてきた時には、描かれていない部分があったんですね。

 

~杜城の回想~

許先生「沈毅をここから解放してやってくれないか?」

杜城「なんとおっしゃいました?」

振り返る許先生。

許先生「あの子を自由にしてやってほしいんだよ!」

かなり、興奮した様子で訴えています。

 

許先生「似顔絵を描ける画家なら、他にもいくらでもいるだろう。別の似顔絵画家を見つけるくらい簡単なはずだ。だが、あの子のような芸術家を育てるのはあまりにも難しい。君らにしたって、なにも沈翊だけが唯一の似顔絵画家ではないだろう。沈翊を芸術の世界に戻してほしい」

 

小さな頃から、その天賦の才能を見出し、大切に育ててきた沈翊。

これからもっともっと、後世に名を残すような作品を生み出し、芸術の世界で羽ばたいていける、と確信している許先生の言葉は、沈翊を知る人には、とても重いものがある。

 

必死に訴えている許先生の言葉を聞きながら、視線を落としている杜城。

 

当然、杜城が今まで知りえた限りでも、沈翊の画家としての名声は高く、本来、警察なんかにいるような人間じゃないってことは、よくわかってますし、直談判しにきた沈翊の師匠の気持ちもわかりすぎるくらいわかります。

 

でも・・・だめだ!!

 

杜城「申し訳ありません。それはできません」

ほぼ即答する杜城。

この時の、杜城の言い返し方、有無を言わせぬ強さがありました。

 

許先生「・・・・・・」

 

杜城「沈翊の芸術的才能を高く評価されていたことは、よくわかります。でも、彼の才能はそれだけじゃないんです。彼には、人の顔を通じて、心や物事の本質を見抜く力があります

 

許先生「・・・・・・」

 

杜城「お気づきではなかったかもしれません。私も、沈翊がここに来た当初は、彼のことを普通の画家だというくらいにしか認識していませんでした。

でも、多くの困難な事件が起きるたびに、彼は重要な役割を果たしてきたんです。沈翊には素晴らしい警察官になる資質をあります

 

さすが杜城。

なにも、私利私欲で沈翔を引き留めてるわけじゃないのだ。← それくらい、みんな、わかってるよ!

 

 

黙ったまま、杜城の言葉を聞く許先生。

杜城の言葉に、信念と覚悟のようなものを感じたのかな。

 

杜城「そして何より、ここの誰もが、沈翊が本当に、今の、この仕事を愛していることを知っています。彼の師匠として、あなたは彼の選択を尊重すべきではありませんか?

 

うわ~~~、「ここまで言ってしまって委員会」だったのね。

 

たぶん、杜城は、この言葉を先生に投げかけたことを、沈翊に言わないだろうし、先生のことを知ってもなお、後悔していないと思う。

 

~北江分局 沈翊の部屋~

 

それから、どれくらい経ったのか、部屋の様子ではだいぶ、暗くなってきてるけど、時間経過はその通りかどうかわかりません。

おもむろに、絵筆を持ち、白いキャンバスに向かう沈翊。

その表情は、呆然自失という状態を抜け出て、描く意思もあり、それでいて、ただ、無心な状態。

目の前のキャンバスと向き合い、まったく、手が停まることはない・・・。

恐るべき集中力。

 

いつしか、イスに座り、細い筆を使い、細部にまで丹念に描き込んでいく沈翊。

 

沈翊が動きが停め、少し離れたところから、じっと絵を見つめている。

ああ、あれは、許先生が人生の最後に選んだあの灰色の海。

 

~再現~

 

奥さんを乗せた車イスを押しながら、波打ち際に近い砂浜を進む許先生。

無表情で、乗ったままの奥さん。

奥さんのひざ掛けをはずし、立たせると、よろける奥さんを支えながら、しばらく目の前の海を眺めている。

奥さんは、ただ、潮風に髪をあおられながら、はるか彼方を見つめている。

 

車イスをその場に残し、ゆっくり、一歩ずつ、歩み始め、

 

いつしか、波間に消えていく二人。

このシーンで流れるこのBGMが秀逸すぎて、これが流れるだけで、涙を誘うのです。

 

そして・・・沈翊が描き上げたのは、砂浜に車イスが残されたあの海の、暗く重い夕景でした。

 

沈翊を待っていた杜城が、部屋に入ってくる。

やっぱり、帰ったりしなかったよね。

 

杜城「あの日、先生はお前のことを説得しに来たんだ。警察の仕事を離れて、芸術の世界に戻れ、と」

それだけは伝えなきゃ、と決めていたのでしょう。

でも、自分が引き留めたことは言わない・・・。

 

それを聞き、更に衝撃と、悲しみが沸き上がる沈翊。

 

翌日かな。

 

通りを歩いてきた沈翊。

その後ろには、杜城の姿も。


 

まるで、なにかに、急き立てられるように、早足で歩く沈翊。

 

おお、この建物の感じ、四合院かな。

※ 表の道からは、一つの門のみで出入りする、中庭付の“ロの字”に家屋が配置されている、昔ながらの住宅形式。

健次のドラマ『君、花海棠の紅にあらず』の水雲楼は時代背景的に無理のない舞台のひとつに感じましたけど、最近の私は、リメイクの『ハイロイン ~Stay with me~』の影響もあって、現代の暮らしには少し古めかしくなってしまった、この佇まいもなじみ深いのです。


発見後、解剖の結果、早々に事件性はない、という結論が出たので、特に、警察が調べるということもなく、ひっそりとしてます。

 

しばらく、先生の家の前に佇む沈翊。

 

一歩ずつ、ゆっくりと玄関に近寄っていく沈翊を見る杜城が、見るからに心配の塊

これが、刑事の顔だなんて、私には、とても言えません。

精神的に極度のショックを受けているであろう沈翊になにかあれば、すぐに支えられる距離感で控えてるって感じです。

 

玄関脇の植木鉢の下に、鍵が隠してありました。


ご夫妻が留守であっても、家に入れるように、子供の頃から、沈翊には、教えてあったんでしょう。

単なる絵の師弟関係というだけではなく、家族同然の付き合いだったってことです。

 

~許先生の自宅~

 

鍵を開け、久しぶりに、師匠の家の玄関の前に立った沈翊。

 

~回想~

 

許先生「沈翊・・・お前が燃やしたのは、絵だけじゃないんだぞ。十数年、お前を指導しながら、心血を注ぎ、積み上げてきた私の努力も一緒に燃やしたんだ! ああ、お前には失望させられたよ。・・・行きなさい。そして、さっさと警察官になるがいい。」

 

7年前、そんな言葉を投げつけられていたのね。

先生は、どこまで、事情を把握されていたのかな。聞いてもなお、納得できなかったのかな。

 

 先生の残像を前にして、目を閉じてしまう沈翊。

おそらく、ここを訪れたのは、それが最後だったのかも。

 

あとは、スマホでのメッセージでのようなやり取りが続いていたような気がします。

 

ため息をつきながら、家の中に入っていく沈翊。

そのあとを追う杜城。

 

リビングに入ってきた沈翊。

カレンダーの上ばかりか、壁の到るところに、付箋が張られている。

“お掃除サービスの日” 

“主人の名前は、許意多(シュー・イードゥオ)”

“40回目の結婚記念日” 

“シンさんは迷彩柄のシャツを着ている人” 

“テレビ台のキャビネの下にビスケットが入っている” 

“お腹がすいたら食べる”

“1時間以上、テレビを見てはいけない” 

“テレビを見すぎないように”

 

こんな細かなことまで・・・どうやら、奥さんは認知症だったのかも。

 

棚の上には、沈翊と映った許先生の写真や、絵の指導風景の写真が、写真立てに飾られている。

思わず、手に取ってしまう沈翊。

 

~回想~

 

奥さん「さぁ、食べてみて。あなたの大好物の、豚の角煮よ。」

食卓を囲む許先生夫妻と、沈翊。

 

沈翊「え~、好物なんかじゃ・・」

 

言いかけた沈翊に、「いいから、食べなさい。彼女は、またお前のことを思文(スーウェン)だと思っているんだよ」と窘める許先生。

思文とは、許先生の実の息子の名前です。

 

 

まだ、レイ隊長の事件が起こる前、成長した沈翊が画家となっていく過程で、この家に出入りしている頃から、奥さんの状態はそんな感じだったのね。

 

仕方なく、ごはんごと、かきこむ沈翊。

そんな沈翊を見て、嬉しそうな奥さんと先生。

 

 

窓際のテーブルを見て、そんな風景を思い出し、微笑む沈翊。

 

そして・・・アトリエとして使っていた部屋のドアをあける。

 

中に入って、ふと足を止める沈翊。

 

赤と青のコントラストが強烈な油絵に触れる。

これ、一度、前の回想シーンにも出てきたよね。

 

~回想 沈翔の子供時代~

 

自分の思うがまま、大胆に、筆や絵の具を操るようになってきた沈翊。

その様子を見守っている許先生。

 

まさしく、その時の絵でした。

不思議に思う沈翊。

 

部屋の中央に、白い布が被せられた画を見つけ、

布を取り去る沈翊。

横顔?

そのまま、目を見開き、

その視線は、左隅に添えられたサインを見て、愕然となる。

 

なぜなら、それはまぎれもなく、沈翊のサインであり、そもそも、この画は、さきほど見た“赤と青の作品”同様、自分の作品全てを燃やしたあの日に、一緒に燃やしてしまったはずの絵だったからでした。

 

勢いよく、炎に包まれる絵。

 

画家の道を断ち切った日の、忘れたくても、忘れられない光景。

 

ここにあるはずがない絵。

存在してはならない絵を前にして、ショックを受ける沈翊。

 

13話、終わりです。

 

★『猟罪図鑑』Ep.13-4 雑感★ 
 

たまたま、沈翊が留守をしていた日に、訊ねてきた恩師。

 

自分が警察官になることを反対され、説得できる自信がなくて、日々の忙しさもあいまって、足が遠のいてしまったことも理解できる。

決して、先生を疎ましく思っていたわけじゃない。

 

そんな気持ちで、急いで連絡を入れた沈翊の耳に飛び込んできた突然の訃報。

 

沈翊にとって、試練の始まりですよね。

 

先生の家を訪れるシーン、中国の建物について、調べる気はなかったものの、ついつい、検索してしまったら、ロケ地となった厦門の四合院は、中庭が2つとか3つある、という記述があり、北京とは若干違う感じで、それもなかなか趣深かった。

 

で、こういうのも見つけた。

参照:言語こたつ | 上海の伝統建築、石庫門について知ろう!

 

藍心の家とかもそうだったし、今回も、沈翊(&杜城)が歩くシーンも出てくるし。

 

四合院はもともと北京で、石庫門は上海・・を代表する建築スタイルらしいけど、こうして、ドラマに中国らしさというものを意図的に入れてるんだろうなぁ。

ああ、だめだ。建築はドラマ内でも大切な舞台であり、物言わぬ登場人物の一つだからね。

どんどん深堀りしたくなる。

 

山積する謎もさることながら、先生の家にあった、自分の作品。

サインまで真似てあったとしたら、それはもう、自分の名を騙り、世に出すための贋作。

 

燃やしてしまったとはいえ、沈翊にとって、自分の作品は命と同じ。

だからこそ、一枚残らず、画家の自分とともに葬り去ることにしたのだから。

 

沈翊が試練に合っている・・・その側に、杜城がいる。

辛い時には、それが拠り所。

 

 

でも、すごかったよね。

だって、杜城は、初めて会った人にも関わらず、それが沈翔の師匠だとわかったうえで、それでも、

絶対に、沈翊を手放せない、と、宣言したようなものだもの。

 

 

 14話、予想以上に、物語は展開していきます。

 

★『猟罪図鑑』Ep.14-1に続く★