どんな素晴らしいノウハウを教えられても、それをひたすら実行して自分のものにしない限りは自分の夢やゴールを達成することは難しいと思います。「あきらめずにやり続ける」ことは成功者の共通した条件のように思います。

 私の周りでも、結果をすぐに出そうとしてあせって長続きしない。ちょっとの失敗で挫折してしまう人たちを目にすることがあります。

 失敗と思っている事が実は成功するための道しるべであることを、後になって知る事もあります。すべてが自分の思うように順調に運ぶわけではありません。要はどう解釈するかで、その先が変わるのです。

 私の知り合いの内科医は触診は10万回経験して初めて一人前だと話をしていました。ちょうど飛行機が離陸する瞬間のように、閾値を超えた瞬間、劇的変化が訪れることがあるものです。

 正しい方法論であれば、試行錯誤しながらもあきらめずにコツコツと実行してみることが、結局は早道であることは私自身もいつも肝に銘じていることであります。

 お金持ちになりたいのなら、お金持ちのように振る舞いなさいとよく言われます。このことについてお話しておきたいと思います。 
 「お金持ちのように振る舞う」だけで果たしてお金持ちになれるでしょうか。私はちょっとひっかかることがあります。お金持ちのように振る舞えばいいと聞いて、高級ホテルに泊まったり高級レストランで豪華なディナーをいただくなど、高級な雰囲気に浸ってみたりする人がいます。あるいは知人に大盤振る舞いをしてみる人もいます。果たしてこれでお金持ちになれるでしょうか。

 確かにお金持ちが体験している「気分」は味わえると思います。しかし私がこういう人たちにお伝えしたいのは、お金持ちになりたいのなら、お金持ちのマインドを身につけなさいということです。お金持ちはただ湯水のごとくお金を使う習慣があるからお金持ちになったわけではありません。

 私の叔父の知人にかつてマレーシアの大富豪夫妻がいました。彼らはクアラルンプールから香港に買い物に出かける際はファーストクラスではなくビジネスクラスを使っていました。ヨーロッパのような長距離の場合はファーストクラスを利用します。そして叔父夫妻を自宅に招く場合は、たとえ近距離でも必ずファーストクラスのチケットを用意してくれました。本当のお金持ちは決して無駄なお金を使いません。
 
 別の例をあげましょう。私の知人にスイスでプライベートバンカーをしている日本人がいます。彼は大富豪の資産の運用を任されていますが、目的は資産を目減りさせない事、せいぜい10%の利回りを期待できればいいと言っていました。10%でもすごいことですが、資産を一気に倍に増やすなどの野望を持たずに、「資産を目減りさせない」ことを基本に資産運用をしているのです。

 私に言わせていだくと、お金持ちになるにはお金持ちのマインドを身につける必要があるのではないかということです、その方法は私のセミナーやプライベートコーチングで詳しくお伝えするつもりですが、文章でお伝えできる項目だけ書かせていただきます。

 まずひとつは、物やお金、そして消費に対するマインドを変える事です。消費して物を獲得する事であなたの人生を変えようとせず、普段の生活や人間関係の解釈を変えることで人生を変える事です。高級時計を身につけるより、人に誠実で親切である方が信用やチャンスに恵まれるようになるでしょう。そしてそれに見合った時計を身につけるという順番にすることです。もちろん身につけるものが変わる事で、マインドに何がしかの変化をもたらす事はあります。しかし、何と言っても物ではなく、あなたのマインドそのものを変えることです。
 次に本当のお金持ちの外面や持ち物を真似するのではなく、そのマインドを真似をすることです。すると無理にお金持ちのように振る舞わなくても、自然とお金持ちのような振る舞いになってくるものです。そのうちに環境や人間付き合いが変化しはじめます。この変化の「コツ」をつかむまで、毎日あきらめずに根気よく練習することです。この際に大切なのは、笑顔で楽しんですることです。人生を楽しんでいることも、浮き沈みのない本当のお金持ちに共通したマインドだからです。



 私は、現代の多くの日本人がお金崇拝の風潮に陥っているように見えて仕方がありません。日本も欧米と同じく資本主義の国ですから、そこで合法的にお金を稼ぐ事には何ら問題はないのですが、他の価値観とのバランスも考えずにひたすら蓄財に走る一部富裕層やリーダーの存在には不安を覚えざるをえません。

 欧米、とりわけアメリカ社会ではいかにお金を稼いだかが成功のバロメーターのひとつにはなっていますが、それ以上にいかにお金を使うかが評価される社会でもあります。すなわち寄付であったり、社会貢献であったり、いかに上手に自分以外の人や社会へお金を還元するかを考えるということです。 日本にもこうしたタイプの富裕層は何人かいらっしゃいますが、数の上では欧米に負けていると言えます。

 最近欧米から帰国したある事業家によると、最近のアメリカは自分の蓄財ばかりしか考えない富裕層が多くて困るという話をしていました。日本に限らず世界中がそうした傾向にあるのでしょうか。日本は経済大国に君臨して長い時代がたちますが、そろそろ日本のリーダーや富裕層が、お金の使い方を真剣に考える時期にはいったのではないかと思います。