私は今回の安保法制をめぐる最大の問題点は集団的自衛権の是非以前に、民主主義における手続きを易々と破ろうとする安倍政権の無謀さにあると思います。自民党の村上誠一郎衆議院議員もおっしゃっている通り、このまま政府の暴走が続くと主権在民や基本的人権に至るまで、時の政府の恣意によって憲法を曲げることができてしまう可能性が高い極めて恐ろしい事態に突入しかねません。
さらに恐ろしいと思うのは違憲なら改憲すればいいという最悪のシナリオです。平和憲法を改憲してまでも集団的自衛権が必要なのでしょうか。防衛省や国連等で防衛や国際紛争の現場に関わった専門家の話からも、安倍政権が想定する事態が極めて非現実的であることが容易に理解できます。個別的自衛権で十分な対応可能なケースでさえも、集団的自衛権を正当化するためのこじつけに使っているに過ぎません。であるならば、世界に誇る平和憲法を変える必要がどこにあるのでしょうか。有害無益な集団的自衛権を合憲化するための改憲ほど愚かなことはありません。
そもそも集団的自衛権を推進する政治家は、中国や北朝鮮の軍隊がアメリカ本土や艦船を攻撃すると本気で考えているのでしょうか。万一そういうことが起きれば、アメリカの軍隊は一撃で相手を制圧します。自衛隊の支援を前提に行動はしません。勉強不足の安倍総理はわからなくても、中国も北朝鮮もそのくらいのことはわかっています。アメリカの軍隊を支援をできるくらいの装備を整えるのにどのくらい膨大な金がかかるのか、国立競技場の屋根で騒ぐどころの話ではありません。さらに必要な若者の数を確保するための徴兵制度さえ心配になります。
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