ある大手外資系企業の社長さんの講演に家内と一緒にお招きいただいたときのことです。マーケティング手法や店舗展開についての理路整然とした説明の合間に、こんなことをおっしゃったのです。
 「女性って、何でクローゼットに入りきれないほどたくさん洋服を買うのでしょうね~?」
 ご自身の奥様の衣装持ちが何とも理解できないということなのですが、そこからは奥様への限りない愛情を感じました。私の家内も着道楽な方なので、お互い顔を見合わせて笑いました。

 私も家内の着道楽を理解して、むしろ趣味のひとつとして応援している方ですが、本質的に女性の着道楽を理解できているかと言われると、自信がありません。男性が身につける事はまずない宝石についてはなおさらです。一方家内の側からすると、私のオーディオや家電、コンピューター系への投資はさっぱり理解できないようです。

 このように長年連れ添った夫婦でも、男性と女性はどうしても理解できないところがあり、それはあたりまえのことです。その違いについて首をひねるより、むしろ楽しむことが大切だと思います。暖かく見守り受け入れる心の余裕がほしいものです。

 最近は成田離婚という言葉に象徴されるように、安易に離婚に走る若者の姿が目立ちます。いろいろ理由はあるとは思いますが、男性と女性は生まれつき違いがあって当然です。それに加えて育った環境の違いで価値観も自ずと異なります。それをお互い大らかな心で受け入れて、怒りではなく愛情をもって主張するところは主張し、譲歩するべきところは譲歩し、建設的な話し合いや歩み寄りで、せっかくのご縁を大切に育んでいただきたいものです。

 女性は、自分に関心をもってもらいたいが故にあえてわがままを言ったり、場合によっては反対のことを言ったりすることがあります。それに対して男性がムキになって怒るのはスマートではありません。男性はそんな乙女心を愛おしいと思えるくらいの器がほしいものです。そして日常生活においては、男性の理屈っぽさは女性に通用しないことがあることをわきまえることです。女性とのパートナーシップにおいては、男性特有の論理ばかりでなく、たとえ苦手であっても情緒的なアプローチも必要であることを、特に若い男性はよく理解していただきたいと思う次第です。