以前にある人からこんな話を聞いた事があります。
 日本の公園の父と呼ばれる本田静六は、苦学生の頃ににカツ丼のうまさに驚嘆したそうです。十分豊かになった後年、カツ丼を2杯は食べられないし、それほどうまくない事に気づき、資産を寄付に使ったという逸話を聞いた事があります。

 私はこの話に感動しました。どんなに豊かになっても食事の量が倍になるわけでもなし、一度に着れる服、同時に乗れる自動車はひとつに決まっています。そう考えると年収200万円の生活と年収200億円の生活は違いにだけ着目するとその差は大きいように思いますが、視点を変えるとそれほど違いはないとも言えるのです。

 お金や物の充足を求めても、消費できる時間には限りがあります。限りなく蓄財を追い求めることは極めて空しいと言えると思います。

 私は本田静六がお金への視点が変わり、すぐにそれを実行に移したことも彼の非凡さを象徴しているように思います。