人間は現状に留まろうとする機能を、生得的に持っています。脈拍や体温、呼吸などを一定に保つなど、生存するために必要だからです。これをホメオスタシスと言います。その一方で、生き方においても変化を好まない現状維持機能が働きます。こちらはよくも悪くも働きます。すなわち不健康や貧乏が心地よくないと感じていても、その状態を維持しようとするのです。
 自分を変えたい人にとって、ホメオスタシスは実にやっかいです。変化するには勇気が必要だからです。ひとことで勇気と言っても、言うは易しで実行はなかなか難しいものです。私にバンジージャンプをしろと言われても、頭では実行しようとしても身体が固まって生理的に尻込みしてしまいます。この時バンジージャンプをすれば、私の夢がかなえられると言われればするかもしれません。すなわち、ゴールを設定することでホメオスタシスを変化させることができるのです。それもできるだけ実現できそうもないゴールを掲げ、さらにいくつかの途中のゴールを設定してみましょう。そうすると無意識が勝手にホメオスタシスを移動させるような環境に自分を誘導してくれるようになります。
 これは家を出て目的地に向かうことに例えればわかりやすいと思います。はっきり行き先がわかっていれば、例えルートがわかっていなくても、何とか目的地に到達しようとしてたどり着けるでしょう。ところが、漠然と家を出てもうろうろするだけです。車のナビに目的地を設定するように、自分の脳にゴールをインプットしましょう。そして日常生活では少しずつ自分を変える、ちょっとした勇気を奮ってみましょう。 脳の中のゴールと、物理世界のちょっとした勇気であなたのホメオスタシスに変化を与えてみてはいかがでしょうか。