ある方から特攻隊員の写真を見せていただきました。5人の少年が仲良く寄り添い、ひとりは仔犬を抱いています。間もなくこの世を去る運命にあるとは思えないほどの穏やかな笑顔です。彼らのその複雑な胸の内を察するといたたまれなくなります。本人だけが知りうるその心の痛みとつらさは5人それぞれでしょう。私などが想像して語る資格などありません。
 近年の若者の表情を見るにつけ、平和と豊かさの中にありながらも彼ら特攻隊員の笑顔にすら及ばない何か暗い影が時々垣間見れるような気がするのは私の思い過ごしでしょうか。平和と豊かさと引き換えに失ったものがあるのではないかと不安にかられることがあります。このところ青少年の非行や犯罪よりも、メンタルな面での荒廃が著しいことをある専門家の方からお聞きしました。特攻隊員の1枚の写真を見て、悲惨な戦争という過去に涙すると共に、現代社会への不安も同時に感じました。