かつて旧共産国では、市場の行列で片方が混んでも、もう片方の売り手が全く手伝わないようなことがありました。自分のテーブル以外は面倒を見ないウエイトレスのいる某空港のレストラン、乗客を一カ所に集めてサービスの手間を省く某航空会社など、枚挙にいとまがありませんでした。
 最近日本の小売店で発行される会員カードやポイントサービスの中には、やたらと会員登録が複雑なものが目につきます。お年寄りの消費者に2次元バーコードの操作を強いるというのでしょうか。合成音声による応答も自分の選択枝がどれなのか迷うこともしばしばです。
 顧客情報を合理的に取得し、カスタマーサービスのコストを削減すること自体は結構ですが、本来は身内でやっていた手間ひまを顧客に強いるというのは納得できません。クレームの際に身内の事情を説明するケースも目立ちます。
 身内の論理がまかり通る最近のサービスに、この国の余裕のなさを感じる昨今です。