私が小学生だった、昭和40年代。毎年夏休みは家族と軽井沢の別荘で過ごしました。別荘地に馬糞が落ちていた時代です。自然よりもプラモデルや読書が好きだった私にとって、軽井沢の日々は少々退屈だったことも否定できません。そんな中、渡辺プロダクションが主催する「真夏の夜の夢」というショーに出かける夜はわくわくしました。クレイジーキャッツ、ザ・ピーナッツ、尾藤イサオといった当時の有名歌手やタレントが出演するそのショーには、当時の総理、佐藤栄作氏の姿も見られました。私のすぐ側を佐藤総理が通り過ぎた光景を今だに忘れられません。
 夜も更けた帰路、真っ暗な道を懐中電灯を照らしながらの家路もわくわくしました。真夏の夜の夢は、同時に私にとっては軽井沢の夜の夢でした。今も会場の跡地近くを車で通るたびに、あの夜のことが鮮明に蘇ります。