ルーベンスタイン・キス
mixiでアップしたのと同じです。公演が29日までだったはずなのでこちらでもアップしてみます。
足あとにまだ観に行く前の人のがついていたけど観る前にこのブログを読んでしまって大丈夫だったんですかね?
では本文。
27日に、好きな役者の鈴木智香子さんが出演する演劇を観てきました。ミュージカルではありません。
この話ね、観劇日記として文章にするのが凄く難しい。でもやってみます。長いです。まとまりも・・・。ミュージカル観劇日記は興味無い人でも読めることを意識し、自分なりにうまく書けたと思ってアップしていますが今回はなあ。「鈴木智香子」という名前を知っている人だけでいいかも。
簡単に書くと、イイタイコトは「とても難しい話」「鈴木さんは凄かった」の2点です。特に後者。読んでくれるならばラストから探すとその記述があるからそこだけでも読んでくれたらうれしいです。
では始まりです。
この作品の題材は原子力スパイとして実際にあった「ローゼンバーグ事件」。米国裁判史上で初のスパイに死刑判決が出た事件です。原爆機密をソ連側にもらしたとされたのですが当時朝鮮戦争でソ連に対する憎悪が募り「見せしめ」とされたとされています。
舞台のストーリーはネットにあったのを引用しますが
>マシューとアンナは、とあるギャラリーの、ルーベンスタイン夫妻の写真の前で出逢い、お互いに惹かれるものを感じ、付き合い始めた。
マッカーシズムの赤狩りの最中に、罪で逮捕され、義弟デヴィッドの曖昧な証言の為有罪、死刑になったルーベンスタイン夫妻。マシューとアンナはその事件に疑問を持ち、膨大な裁判記録を調べ始める。
アンナは「ルーベンスタイン訴訟委員会」のメンバーでもあった。
ジェイコブとエスター夫妻の生活は、共産党入りが災いし職場を失い、
弟デヴィッドとの共同経営会社も上手くいっていない。そんな或る日、ジェイコブとエスターがFBIに逮捕される。裁判の結果は死刑。義弟デヴィドの曖昧な証言が元で夫妻の抗弁もむなしく、1953年に処刑される。
「ルーベンスタイン訴訟委員会」の活動を熱心に行っているうち、アンナはデヴィットの娘であることが、そしてマシューは養子にされたルーベンスタインの遺児であることが判る。つまり二人はいとこ同士だったのだ・・・。
という話。
題材に興味を持ったかたがいたらWikipediaの「ローゼンバーグ事件」を読んでみてください。
席はなんと最前列でした!鈴木さんありがとうございます!
さて感想です。
とにかく難しい話だった。だって結局のところ何が真実かわからないのだから。
ところどころでこの夫婦はスパイ活動は本当にしていたんだな、というのが伺えます。しかし捜査官に対してあまりに堂々としているので本当にやっていない気がしてくるんです。まあうまさであり見所なんですけどね。でもなにはともあれひたすら混乱。
・「嘘は死ぬまで言い続ければ真実」とも言われる。ルーベンスタイン夫婦のスタンスはこれ。絶対に真実しか話していないと言い張った。
・FBIは「でっちあげ」、「かまをかける」、「嘘の供述をすることで便宜をはかるとか情に訴えかける」などするからFBI役の人から出る言葉は全て事実と信じるわけにいかない。
・夫妻を牢獄行きにさせた弟から出た言葉はFBIとの取引から出た供述だから真実か信じられない。
・夫妻の死後、無罪を証明しようとしてきた息子のマシュー。弟の娘のアンナもまた真実を知りたいと行動してきた。そのやり取りから一般論を見せる役割のようだ。でも所詮過去を資料で調べたというものでしかない。
・ラスト近くでどうやら夫妻はやはりスパイだったらしい証拠を息子が見つけるけどそれまでの展開で決め手にしにくい。それ以上に同時に演じられている夫妻の最後の日の面会のシーンの姿が凜としていすぎてやはりこの夫婦は正しいのではないのかと思わせるものがあり決定的証拠なはずなのに決め手と受けとりにくいのだ。
ということで繰り返しますが混乱しまくり、頭使いまくりでとても難しい話というのが感想。結論はスパイですよ。でもいろんな場面を分析しないとなんともはっきり結論付けにくい。そういう話です。
この話のテーマは「理念」、「行動」、「愛」ですかね。
「理念のために死ぬのか!」というFBI捜査官の台詞がある。そうなんだけどこの話では絶対に夫妻は自分らは無罪だと主張し続けてスパイ疑惑を否定したのだから「理念」がなんだかわかんないんですよね。でも「理念」の為にこの夫妻は死を選んだのは確かなので間違いなくテーマでしょう。
「行動」はそれぞれがそれぞれに理由があって思いを行動にうつした、ということ。弟は実の姉が死刑になってしまうのにFBIに売った形になる。しかし「弟は妻と娘を守ることが最優先だった」。夫は自分だけでなく妻も死刑になろうとも、行動することが後につながると信じて行動した。
「愛」は弟の行動は妻と娘を思ってのものだし、この話全体でルーベンスタイン夫婦の愛が書かれている。息子のマーシュの行動も両親への愛。
鈴木さんへの感想。
凄い。かなり凄い。死刑の十日前だかに諦めず説得に来た捜査官とのやり取りは圧巻。「その時こんな思いなんだろうな」を全て表情で演じていた。やつれた感じから始まり虚ろな感じ、喜び、表情の裏に真実は隠していそうな様子、相手の誘いに乗りそうになるかんじ、ちょっとだけ地のエスターが出る感じ、子供のことを出されて動揺するかんじ、ずっと金網越しにしか面会出来なかった夫と直接会えて抱き合うことで喜びを最大に表した様子、その後我に返りその姿を捜査官の前で見せたことを恥じ狼狽するかんじ、冷静さを取り戻していく様子など。
しかしホントその演技力から何が真実かちっともわからない。いや、夫妻が本当に無実に思いたくなる。展開からスパイだったのは本当だと思うのに。でも信じたくなってしまうのである。「捜査官の間では夫のジェイコブズ以上に手ごわいのはエスターだと言われている」、というのも本当かもしれないと思わされるのも鈴木さんの見事に演じ表現されていました。
ちなみに私は表情の演技がうまい人が大好き。ということで鈴木さんの演技に観劇料を払うつもりで観劇を決断した私は大満足。それくらいの見ごたえ。その捜査官との場面では一瞬も見逃すまいと鈴木さんから目を離さずに見ていました。ということで捜査官の演技は全く観ていません。夫が加わってからも8割は鈴木さんを見ていました。いや、目を離せませんでした。
は~い、どうでしたか?
人に伝えるって難しいね。