5月のフィレンツェ。いまさらの回想。 | 「藍染 迅(超時空伝説研究所改め)」の部屋

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小説家ワナビーの「藍染 迅(あいぞめ じん)」です。

書籍化・商業化を目指し、各種コンテストに挑戦しながら、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ、アルファポリスなどに作品を投稿しています。

代表作は異世界ファンタジー「「飯屋のせがれ、魔術師になる。」。

出張で訪れたフィレンツェ。
観光シーズンが開幕を告げておった。

なんでわかるかというと、日本人観光客の集団。
その多さを、まざまざと実感した。

日曜日の昼食に立ち寄った、「北京飯店」
もちろん、中華食堂である。
メディチ家礼拝堂のすぐそばにある。

料理の味は、なかなか良好。
なぜかタイ料理のレパートリーもある。

ナポリにはまともな中華料理屋がないので、味の変化が欲しくなった時には有効な選択肢となる。

その日も、そこで昼食タイムとした。午後1時くらいだったろうか?

店に入ると、既に団体さんの環境客が奥に陣取っていた。
30人くらいいたろう。

聞こえてくる声が日本語だった。
ツアーコンダクタさんが昼食に連れてきた様子だった。

食事はほぼ終了し、これから店を出ようというところだった。

「トイレに行きたい人は、今のうちに行っておいてください」
「いまから各人の昼食代を集めます」

などと、ツアコンさんが声を張り上げている。

年寄り、おばさまが中心の構成になっていると見受けられた。

広い店なので、それでも店内には空席がいくつもあり、自分の座るテーブルも難なく確保できた。
料理とビールをオーダーし、食事を始めると、さっきの団体と入れ違いに、別のツアコンが店に入ってきた。

「27人、入れますか?」
「大丈夫」

で、団体さんご案内。

4人様御一行は、ここに座って。8人様は、このテーブル!
パッパッと席に着かせていく。

一行の食事が進んできたところで、また別のツアコンさんが入ってきた。

「25人、入れますか?」
「いまは、無理。ちょっと待って」

ということで、3つ目の団体は店外で待機することになった。
結構暑いのに、難儀なことである。

いやあ、ツアコンさんも大変だなあと思う一方、よくもこの炎天下、屋外に並ばせるものだと、感心もした。
いかにもまとまりがなさそうな団体さんを見ていると、自分にはとてもツアコンという仕事は務まらないなと、しみじみ感じさせられた。

わがまま勝手な年寄りたちの相手など、とうていやっていられない。

さて、食事も終わったし、トイレによって帰ろう。
そう思って、トイレに続く階段に目をやると、長蛇の行列。

大人数の年寄りが同時に飲み食いしたら、そうなるわな。
特に、女性は時間がかかるし。

とても待ってはいられないので、駅の有料トイレを使うことにして、店を後にした。

店のキャパも重要な要因であろうが、ツアコンさん御用達という「北京飯店」は、クオリティでもそこそこの評価を得ているのだろう。
日曜日営業しているというのも、ありがたい。