ネタバレになるので、ストーリーの詳細には触れません。
触れ込みの割には、プロットにひねりや深みが足りなかった気がします。
今回は、タイトルに込められた意図のお話。
「Gone Girl」というのは、原題も同じです。
「Gone」とはふつう、「行ってしまった」とか「いなくなった」という意味になります。
極々ふつうに和訳すれば、「消えた女の子」というところでしょうか。
通常成人した女性に対して、「girl」という表現は使いません。
女の子というニュアンスになるので、性的差別表現と判断される場合があります。
それをあえてタイトルに使っているところに、ひとつめの意図があります。
消えた女性は、主人公の妻なのですが、子供時代から父親が書く小説のモデルになっていたんですね。
よって、世間のイメージや小説の世界では、常に幼い少女のままなのです。
その少女がいなくなってしまった
という意味がひとつ。
しかし、現実の世界では少女は大人になってしまった。もともと、少女はいないんですね。
そういう意味で、「少女はもういない」
というのがふたつめ。
ところが、誘拐に見えた事件には意外な裏があることが分かってくる。
前半は完璧な妻、完璧な女性に見えた人物が、後半になると、実はとんでもない女性だったということが浮き彫りになります。
このとき「Gone」は、まったく違う意味になるんですね。
これはもう、「頭がおかしい」とか「いかれた」という意味になります。
そうなると、「girl」という単語がぴたりとはまります。
「あの子いかれてるよ」という言い方な訳です。これがみっつめであり、本当の意味
だろうと思います。
そこが映画のミソであり、いかれ具合を畳みかけようとしているんですが、演出が足りませんね。ぞっとする怖さが出てこない。
そういう意味で、いまいちだなと評価しています。
みなさんはどうご覧になるでしょうね?