高倉健の「あなたへ」を見ました。富山から平戸への妻の遺言を実行する旅路の途中での人々との出会い。亡き妻の故郷である平戸の漁港で、散骨を実行に移すまでの躊躇いと、地元の方々の善意を絡めながら、しみじみと日本人の暖かさと切なさを感じさせる映画でした。
道中で草彅剛の演じるイカ飯の実演販売員と出合うのですが、この商売は全国のデパートなどの物産展を巡るのですが、実在する職業としてはかなり大変そうな仕事でかなりモチベーションを維持するのが困難であると思います。車に鍋や釜を積み、朝にデパートの売り場で冷凍のするめイカを洗い、もち米を詰めて仕込みを行い、販売終了後に撤収作業、そして次の場所へ。
これを毎日繰り返す訳ですから労働基準法云々以前の問題として「大変なお仕事」です。
イカ飯は物産展の常連メンバーだそうですが、多分、全国でこの仕事に従事している人口は10人もいないと思います。
ストーリーの展開上もこの職業がかなり大きなポイントとなるのですが、原作者はどのような経緯でこの仕事に着目したのかお聞きしてみたいと思います。
「寅さん」や「釣りバカ」と同様に日本の地方の美しい風景と善意の人々の心温まる交流を描いた作品ですのでが、やはり高倉健の存在感と田中裕子の秀逸な演技が高品質な物に仕上がっておりました。