漫画家 村上たかしさんの新刊 『星守る犬』
朽ち果てた車の中で寄り添うように、
男性と一頭の犬の遺体が発見された。
鑑定の結果は男性が死後1年。
だが犬は死後わずか3ヶ月。
この時間差が意味するものとは?
「涙が出た。」 という帯がついてるので
感動のお涙頂戴本と思って読んだけど
最後まで涙は出てこなかった。
病気で職も失い、家族からも見放された
男性が愛犬をともない旅に出て力尽きる。
泣けなかったのは 自分も将来
同じような道をたどるかもしれないからか。
いや、自分だけではない。
人間なら誰しも その可能性はある。
今現在 裕福な人でも、病気になったら
誰かの力を借りなければ生きていけない。
人間というのは思いのほか薄情で
潮が引くように まわりからいなくなる。
華々しく活躍していた人が
病気になったら尚更のこと。
「貧しい人は努力が足りない」
なんて批判する人は筋違いだ。
"絶対的貧困" というものがある。
"絶対的貧困" に陥ったことのない人が
そんなことを言っても 説得力に乏しい。
生まれたときから 絶望的な差が
ついてる人も たくさんいるのだから。