水素原子は原子核に陽子が1個あるだけだ。その周囲に電子が1個存在する。ここで「存在する」と書くのには意味がある。原子核と電子の重量比を見れば約2000対1となって電子の方が恐ろしくなるほど軽い存在なのだ。それでイメージする時にはある定点に動かない原子核となる陽子があってその周囲を軽い電子が運動をするという記述をすることになる。

 

ただここで困ったことが登場して来る。物理学の原則論で話しをすると。プラス電荷の粒子の周囲にマイナス電荷の粒子があるとそのマイナス電荷は電気力によってプラス電荷の粒子に吸い寄せられて吸収されて一体化するのが物理学での原則だ。そうなると水素原子の例で見れば陽子と電子が合体して中性の粒子になってしまうのだ。そしてそういう中性子も原子核の構成要素として存在している。

 

水素原子はどこへ行ってしまうのだろうか。その状況を実は人間の感覚では捉えることが出来ないため、量子という言葉が出来たのだった。2000年になる以前からの論争が幾つかあったが1926年に数学者のシュレディンガーという人があることを思い付いて、この変てこな粒子の動きを波動として捉えると波動関数で記述できると考えたのだった。粒子を波動として捉えると言う画期的な考えである。それは「世紀の大発見でもあった」。こうして原子核の粒子の運動を方程式で表現できるようになった。その後ドイツのハイデンベルグとイギリスのディラックと言う二人の大天才が出て来ていわゆる量子力学が急速にそして大々的に発展していく。今では粒子と言わずに量子と言うようになった原子の世界の物質たち。これらの量子はやがて更に核子よりも遥かに小さな素粒子からなることが明らかにされている。

 

今素粒子のことはちょっと置いておきたい。原子のことを考えて行きたいのだ。そうすると物質として水素原子が最初の物となることから始められる。そこで改めて水素原子のことから考えて行くことにする。