「で、教授、これからどうするんですか?」

小南は疲れ切った表情で尋ねた。

「どうもこうもないだろ、出口を探すしか・・・」

「そんなことは分ってますっ!

もう何回も同じ場所をグルグル回っているじゃないですか

こんな目に遭うって分ってたら、来るんじゃなかった・・・」

「何を今更、そもそもは君があの怪しげな古地図を

神保町の古本屋から買ってきたのが発端じゃないか」

「な、な、何を言うんですか

教授が『これは地底王国の在り処を示す地図に違いない

我々が此処を突きとめれば世紀の大発見だっ!』とか言って

僕を無理矢理連れ出したんじゃないですか」

「コナン君、これは探検なんだぞ、探検には危険がつきものだ

地底人に襲われたり、恐竜に食われそうになったり

地底湖で溺れかけたりってことは覚悟の上だろ」

「覚悟の上だろって説教する前に、僕の名前ぐらい覚えてくださいっ!

僕はコミナミです、コ・ミ・ナ・ミ

僕が何年、教授の助手をしてると思ってるんですかっ!

馬鹿じゃあるまいし」

「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは、これだからウイットを解せぬ奴は困る」

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「仁吉さんよ、あそこの二人は何やってんだろね

洞穴の前で訳の分らんことを喚き合っとるで」

「ああ、よそもんだな、ありゃ

きっとあの洞穴に入ってしもうたんじゃろ

『立ち入り禁止』の立て札があったんじゃが

目に入らんかったのかのう

辰由さんは地元じゃないで知らんじゃろうが、あの洞穴の中には

何か訳の分らんガスが溜まっていての

そのガスを吸うとおかしくなってしまうんじゃ

まあ、命に別条はないし、直に元に戻るんじゃが

正気に戻るまでは幻覚を見るらしい

このことは地元の人間なら皆知っとるで、誰もあそこにゃ近づかん

俺の曾爺さんが持っとった古地図にも記されておったから

相当昔から知られとったことじゃ

・・・ああ、その地図なら

親爺の代に家を建て替えたとき、不要品を処分したんじゃが

その時、その古地図もどこかにいってしもうての・・・

東京から来た骨董屋にもあれこれ譲ってやったから

もしかしたら、その中に紛れ込んだかもしれん」