バチカンの声が聞こえる。

キリスト教の神学や歴史に関する知識はそこまでないので、詳細を見て感動することは期待していなかった。
その場に立って、受ける「印象」を楽しみにしていた。

サン・ピエトロ寺院ではスケールやディテールに圧倒され、インパクトは大きく、キリスト教の一つの集大成を見た気がした。

その後行った、システナ礼拝堂ではとりつかれるように居座った。
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礼拝堂への廊下を飾る金の天井と無数の絵画。すべては神を讃える一心で作られてきたものだ。キリスト教がひたすら一つのものを愛してきた歴史を痛烈に感じて、身が震える。

今までキリスト教はその目に見える聖者やイエス像などから、かなり唯物的で偶像的な宗教だと思ってきたが、ここまで徹底した装飾美や建築美や色彩美を魅せられると、人々がどれほどイエスや神を愛し、数千年にかけて投入してきたのかがわかった 。壁画一つ一つに、その精誠が確認できたからだ。
知らなかった。。
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人々が集まっていた壁画がある礼拝堂で、1時間ほど壁にもたれかかってずっと上を見ていた。頭の中ではviva la vidaが何度も強く流れている。

この歌は「かつては世界を支配していたが、時を経て力を失ったキリスト教の悩みを歌った」歌のような気がします。

歴史を通して変遷を繰り返しながら分派し影響力を失っていくキリスト教の未来を憂う声を聞いた気がした。


バチカンミュージアムの螺旋階段
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