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雲無い青い空のした、眩しい太陽に照らされて、その巨大な寺院は据わっていた。

神聖な歴史の前で、親の前で礼儀をわきまえずじゃれ合う子供のように、人々は戯れている。
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路上でさまようジプシーやランダムな中東の出店や、過度のセキュリティチェック、何かにつけてシャッターを切る光景なんかが、なにとなく神聖な雰囲気に垢を塗っていた。
そんな光景さえバチカンに包みこまれているのか。

30分ほどセキュリティチェックのため列に並び、サン・ピエトロ寺院に入った。
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中は一面、金色が散りばめられていて、ドームの窓から入り込む光が神々しく輝いている。
その規模と繊細さ、美しさはめくるめくものがあった。細部まで妥協なく作り込まれている。

そんな風に圧倒されながら、ひとひとと歩いていると、荘厳な雰囲気とは別種の、雑多な空気を感じた。
絶え間ないフラッシュとピースサインや、重なる会話の声など。
どこの観光地でもよく見る光景。

すぐそばでは礼拝室で真剣に祈りを捧げている人々もいる。

違和感のあるコントラスト。

見方、味わい方、楽しみ方は人それぞれ。

ベルニーニやミケランジェロ、ラフェエロ、レオナルドなど稀なる天才たちが数千年の命運をかけてバチカンに築いた神殿は、いまでも人々を照らしているのか。

ドーム頂上からのバチカンとローマ
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