□大学受験のための小説講義
石原千秋
第二部
【過去問⑥】貧しさは命を奪う
福島大学(二〇〇〇年度)
(吉村昭「ハタハタ」による)
absurdumさんの夏期特別講義の出席資格取得
のために提出が義務付けられています。
え?これでいいよね。たぶん。
問題を解いてEduce.usに投稿すればおk。
今確認しましたが五、六、七、八だけでいいみたい。
もしかしたら「春の雪」読解も必要かも・・・?
誰か要綱もってたら教えてくれ><
書きながら考えてる。
解説は見て無いから間違いだらけかもしれない
もう終った人は見てみてね。
こうした方が良いよ、とか
これはおもしろいかも、とか
なんかの足しになれば幸い。
※以下、引用箇所多々あり。
■情報整理。
五年ぶりでハタハタの豊漁の期待に緊張している
東北の貧しい漁村で、雪と嵐の中を湾内に張った
定置網を取り込みに向かった俊一の祖父と父は
高波のために遭難し、祖父の遺体は収容されたが、
父はまだ発見されない。
ハタハタの豊漁
========(死のボーダー)==
雪と嵐
高波
祖父・・・遺体を収容済み
父・・・未発見
○登場人物(一部)
俊一
母
漁師
漁師の妻達
○イメージ
□生
ハタハタ(=生のうねり、勢い)
村落全体がどよめき
大きく揺れ動いているような
興奮しきった明るさ
駆けながら甲高い声
はじかれるように
目を血走らせて
はじかれたように
殷賑
たかぶった声
異様なざわめき
海水の青さはハタハタの肌の色に塗りつぶされ
大きくうねる波
□死
祖父の遺体
父の不在
線香
白布
ふとん
冷たい海中
悲しみ
無言
◇母のセリフ
「出るんじゃない」
「ハタハタがきたんですね」
「ついてこい」
「ハタハタをとってください」
「父ちゃんは、もう死んでいます。探してくれるのは
ありがたいが、ハタハタをとることを先にしてください。
ハタハタは、これからいつやってくるかわからない。
ハタハタをとってください」
◇母の表情、仕草
身じろぎしないで
何も言わない
鋭い声
顔をひきつらせてけわしい表情
(人に向けて)おだやかな表情
しきりに思案しているらしい
険しい表情
切迫した緊張感
ふるえを帯びた声
○村落はどちらに傾くか
ハタハタ漁⇔遺体捜索
○村落と俊一の家
遺体捜索>ハタハタ=0
①遭難後、祖父の遺体収容
父の捜索中。
外:村をあげて捜索中。静か
俊一の家:近所の漁師の妻たちがつめていて
漁師たちも焼香にやってくる
多くの人の出入り。
母・・・家にいる
俊一・・・母の言いつけを守らずに帰宅
(「父が見つかるまで戻るな」、か?)
②ハタハタの報せ
遺体捜索<<<<<ハタハタ
外:活気がある。とたんに賑やか
俊一の家:残っていたもの達は出て行く
こちらは静かになる。
母・・・壁をみて身じろぎもしない。
・俊一をたしなめる時、鋭い声にけわしい表情
・無言。
俊一・・・気分が落ち着かない
・外を見ようとして母にたしなめられる
・顔を赤らめて、おのれを「ひどく不謹慎」に思う
③捜索を思い出して村が再び静かになる
遺体捜索>ハタハタ
外:再び静けさを取り戻した
漁協で話し合いがはじまる
俊一の家:漁師の妻が無言で戻ってくる
放心したような表情が色濃い
複雑な表情
母・・・俊一の予想に反して何かしきりに思案
しているらしい険しい表情
・後姿に切迫した緊張感
・ハタハタの群れを見て足が止まる
表情は見えない
俊一:母の様子が理解できない。
安堵していいはずなのに・・・。
④母が漁協に訴えに行く
遺体捜索→ハタハタ
外:漁師達が苛立った表情で話し合い
→母の姿を見て口を閉ざす
漁業組合事務所:殺気立った空気
→母を見て
・激しい議論を交わしていた火照りが妙な
こわばりとなって残り、気まずさ
・母の申出を受けて顔にかすかなゆるみ
母・・・「ハタハタをとってください」
俊一・・・母がとった行動が正しいかどうかは
理解できなかった。
⑤祖父の通夜とハタハタ漁の開始
通夜<<<<<<<<ハタハタ漁
外:漁の開始と同時に音と人声の世界
俊一の家:焼香は数人の遺族だけで
彼らもすぐに帰る
母・・・?
俊一・・・?
○あらすじ
祖父と父の死があった。
村は総出をあげて父(ともう一人の漁師)の
遺体を捜索している。
ハタハタが来た。
これはめったにないことで苦しい貧困に悩まされて
いる村人達にとってはハタハタ漁を優先したいが、
村の共同作業(≒しきたり)は動かせない。
父の死はコミュニティの和を乱す存在となっている
母は遺体捜索を後回しにして先にハタハタをとるように
願い出る。
遺体捜索は初動捜索のスピードにかかっている。
捜索を後回しにすれば遺体の収容は難しくなる。
母はそれを承知のうえで「ふるえをおびた声で」
「一語一語区切るように」ハタハタをとるように
申し出たのだった。
村落はハタハタ漁を優先することを決定し
村中には活気が戻ってきた。
○物語成分
①これは、村落が死から生へと目線を変える物語だ。
(コミュニティは死者よりも生きているものを優先する)
②これは、母が「妻」としての立場をあきらめて
「村の一員」としての立場を辛くも優先する物語だ。
③これは、俊一が、死んだ父と自分を含め生きている者
を天秤にかけるという葛藤を経て成長する物語だ。
■考察
長くなったから分ける。「ハタハタ考察」に続く
・・・なげぇ!