ゆめゆめ夢を見でひさしうなりにけるを思ひ出でて東西に馳走せり | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

夢を観た。


僕は鏡の前にいて、なんだか口の中に

違和感を覚える。



歯が抜けそうなんだ。


しかも、たくさん。


ちょっと指で押したらボロボロ抜け落ちた。


付け根のとがった歯が、舌や口の中のあちこちに

あたって痛い。


流しに吐き出すと、唾液がまとわりついた、白くて

奇妙にゆがんだトウモロコシの種子みたいだ。


数えてみると十本はあった。


これだけ抜けると大変だと思った。

たぶん、夢だという意識はなかったかな。


口の中が生温かくて鉄の味がする、例のぬるぬるで

いっぱいだ。

だってこんなにたくさん歯が抜けたわけだからね。


それから鏡に向かってにっこりしたら

歯がすかすかで、マンガで描いた口みたいだった。


まったく困ったもんだよ。ホントにさ。




さて、おまけ。


ゆめゆめ夢を見でひさしうなりにけるを思ひ出でて、

東西に馳走せり。



古典作文したらいいと思うんだけどなあ。



・ゆめゆめ/夢/を/見/で


○ゆめゆめ~打消し

全文否定。(まったく~ない。)


○動詞の未然形+で

「で」は打消しの「ず」+「て」

(~しないで、そして)とか。後の文に意味が続く。


・ひさしう/なり/に/ける/を


○ひさしう

形容詞の連用形はウ音便を起こすことがある。

→ひさしく


○にけり

完了の「ぬ」の連用形+過去の「けり」

この「けり」はいわゆる気づきのけりで、間接過去ではないです。

「そういえばあれは~だったな」みたいな感じ。

(~てしまった)


○けるを

「けり」の連体形+格助詞「を」

(訳はごまかして書いてる。ホントはダメかも)



・思ひ出で/て/、東西/に/馳走せ/り。


○思い出づ

複合語で他動詞ダ行下二段活用の動詞。

(思い出す)


○馳走す

自動詞サ行変格活用の動詞。

(走り回る)


○サ行変格活用の動詞の未然形+「り」

いわゆるサ未四已(さみしい)「り」だ!!

完了(存在)の「り」なので(~てしまった)とか。


関係ないけどサ未四已「り」を見つけると

正直、興奮する。





訳:まったく夢を見ないで久しくなってしまったのを

思い出して、東西に走り回った。



「努力する」を思いつかなかったので「馳走す」を

代わりに使ってみました。

これよりいい単語を思いついたら教えてください。





おしまい。