五月 | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで



運動会が終りました。


本当に、あっという間でした。



帰宅してお風呂入ったらぶっ倒れました。


体力も気力も、汗も涙も声も枯れ果てました。





楽しかった。


みんな本当に頑張ってくれて、うれしかった。


終るのは寂しい。


できることならばまだやりたい。


後悔がある。


大きな後悔がある。





でも、僕たちの運動会は終りました。



まだ悔しい気持ちがたくさんあるけど、

最高の運動会でした。



誇らしいです。



運動会に捧げた全ての時間が、楽しくて、

楽しくて仕方ありませんでした。



寂しいなあ。

悔しいなあ。



僕たちは負けたけど、第三十三代黒組には確かに

最高のメンバーがそろっていたんだ。




優勝したかった、


優勝させてやりたかった。


ウイニングランをもう一度したかった。



・・・



血と悔し涙が滲んだアクエリはまずかった。


負けて土下座したとき、悔しくて情けなくて

申し訳なくてしょうがなかった。


一ヶ月が一瞬で散った。



・・・



襷をつけて行進するのは緊張したよ。

頭が真っ白になった。

なんかふらふらするんだよ。


襷つけてると、運動会だぞって気分になる。



・・・



ラインは大変なんだぜ。


僕は最初から最後までラインだった。


希望調査で第一志望ライン。


能力テストさぼったら攻撃か遊撃に

コンバートされそうになったから、

(迎撃は出席率が非常に重要)

「これからの練習は全部出ます」っていって

ラインをやらせてもらった。


去年はさ、痛くて全然もたなかったんだ。




でも、練習を重ねてだんだん耐えられるようになって

去年の運動会では優勝して、

今年は高2係のライン担当にもなったから

ずーーーっとラインで棒を締め続けてきた。



「ラインは最高にエキサイティングな職業です」


僕は、本当にそう思ってるよ。



・・・



団長や組責、黒組のみんなが泣いてるのを

見るのはつらかった。



みんな優勝狙ってるんだよね。

勝つのはとても難しいことだ。


運動会なんだよな。



・・・



最後の棒倒しは泣いた。

もう、このメンバーで棒倒しができるのは

最後なんだと思うと寂しくてしょうがなかった。


声出しが泣けて、ちゃんと声出なかった。



団長の姿が滲んだ。



迎撃の方の声出しも泣いてしまった。

組責が音頭をとってくれたんだけど

ラインがぎしぎしに締まってて、

うれしくて頼もしくて誇らしかった。



これが最後の棒倒しだ!


攻撃が絶対棒倒してくれる!


だからお前ら死ぬ気で守り抜け!



絶対勝つ!


絶対勝つ!


絶対勝つ!



おおおおおおおおおおおお!!!


そーれそれそれくーろ!!!

黒!黒!黒!黒!



ピ~~~~~



中突!!!



・・・



閉会式も涙が出た。


終っていく運動会の姿は

やりきったという達成感と充実した疲労、

長かった戦いの終幕による寂寥感に満ちていた。



・・・



長鉢巻はほつれまくった。


メガホンはみんなのメッセージが温かかった。

べこべこになったし、

地面に叩きつけたら、はねて唇切ったけどね。



白手袋は肌触りがいいけど、サイズ大きいから

振りにくい。



制服は真っ白になった。

泥と汗でシミがいっぱいできた。



カップはそんなに好きじゃない。

落ち着かない。



足袋は晴れてると気持ちいいけど、

滲みるし臭い。



短パチは棒倒しの前にきつく締めた。

ラインと同様に、

最後までしっかり結ばれたままだった。





・・・





楽しかった・・・。




・・・





中一優勝おめでとう。

優勝はガタイだけじゃ手に入らない。


最高の、中一のみんなと、中一係と、中一Cが

そろっていなければ達成できなかったはずだ。


一度きりのチャンスをものにしてくれて、

誇らしくてしょうがないよ。




高二は優勝させてやれなくて本当に申し訳ない。


運動会の練習期間はたったの一ヶ月。

勝敗は指導と練習とで決まる。

下馬評はほとんど関係ないと言ってもいい。




僕たちの力が及ばなかった。




こういう言い方はすごくずるいけど、

みんななら来年の運動会で全く違った結果を

残せると信じている。


みんなにはまだ一年あるんだ。


大事に使って欲しい。


長いようで本当にあっという間だからさ。






高三棒でうちの迎撃が学年最強であることを

証明できたのもすごくうれしかったです。


ラインはもうアホみたいに強いんだから。

困っちゃうよね。



まあ、試合に負けて勝負に勝った、ってね。

(まだ納得できてないんだけど)





・・・





僕たちは運動会を作れたのか?


僕は、作れた、と思います。



疲れてへとへとになって、

情けなく泣きじゃくって、

声が枯れても叫んだ、

あの時間は本物だったと思います。



ちっぽけかもしれないけど、

鮮やかに輝く明るい灯を残せたと

信じています。










みんな、長い間お疲れ様でした。

これまで本当にお世話になりました。


最高に楽しかったです。



ありがとうございました。













僕たちの、運動会が、終りました。