木曜日、帰宅すると玄関脇に友人Cの自転車。
しかし玄関には息子の靴もない。
妻は夕食の支度をするでもなく、テレビを視ていた。
バスの回数券を入れてあった引き出しが少し空いている。
友人Cと街まで繰り出したことがうかがえた。
妻から前日に小遣いを5000円渡したと聞いた。
これまで引き籠っていたのは資金切れによるものだったのか。
小遣いを渡したとたんに街へと出かけていった。
この週末がレポート期限前の最後の休日。
10月の終わりにもらってきてから一度も触れていないレポート。
こっそりチェックしてみると必要な教科のレポートが足りない。
息子だけでなく、学校側にも問題があると思う。
しかし、そんなことを言っている場合ではない。
街から最終バスで帰ってくれば帰宅は22時過ぎ。
しかし23時になっても息子は帰ってこない。
久々に小遣いを入手して遊び呆けているのか。
結局、帰ってきたのは午前1時頃だった。
晩飯を食べると言うので、用意してあった食事を温め直す。
食事の最中、息子にレポートが不足している事を伝えた。
あっそう、それは向こうの落ち度だなと平然とした表情。
休み明けにもらいに行くように言うと、その場では頷いた。
大丈夫、内容なんてどうでも出すことに意味があるって先生が言ってた。
適当に書いて白紙に近くても出すことに意義があると言う。
それは出さないよりはいいだろう。
しかしそれも評価の対象だし、そこから問題が出るんだよ、息子よ。
翌金曜日、お昼過ぎまで布団の中で過ごす。
妻から昼飯だと起こされ、階下に降りると洗面所からドライヤーの音。
息子が念入りに髪型のセットをしていた。
出かけるのか?との問いに、先輩と遊びに行くとの返事。
3人で昼飯を食べるとすぐに出かけていった。
妻も夕方からママ友と忘年会に行くと聞いていた。
帰りの迎えも頼まれている。
それまでは1人。 夕食を作るのも面倒なのでコンビニへ。
息子の分と2人分の弁当を購入。 一緒に食べようと思う。
妻との約束は20時半。 それまで腹を持たせるため、
100円セールのおにぎりを購入、車中で食べ、駅前へ。
妻を待つ間、行きかう人たちに目を向ける。
もしかしたら息子達がいるかもしれないと思っていた。
しかし、妻たちが現れるまで息子を目にする事はなかった。
妻とママ友3人を乗せ、それぞれの家へと向かう。
3人を送り届け、妻と2人でコンビニによりビールを購入。
実はこの日は結婚記念日。
毎年取り立てて何をするわけでもなく過ぎていく。
子供は何人欲しいなどと輝く未来を夢見ていたあの頃。
今の状況など当然のことながら想像することすらなかった。
明るい未来が続いていくものと信じていた。
20年以上前の愚かな自分が哀れに思える。
自宅へ戻ると予想に反して、息子は帰宅していた。
腹が減ったのか、呼びかけにすぐに下りてきた。
2種類の弁当を見て、どっちも食いたいと言う。
片方の弁当を半分取り分け、息子へ。
100円おにぎりを食べておいて良かった。
レポートをやらないこと、タバコをやめないこと、
この2つを除けば、かなり落ち着いてきてはいる。
髪色も茶色のまま継続して、奇抜な色にはなっていない。
バイトも行動する気配はないが、口には出している。
後、少しなのか。
それとも嵐の前の静けさなのか。
当面の焦点は月末のレポート締め切りだ。