あらためまして、新年明けましておめでとうございます。

 足立家ほのぼのクリスマス劇場の次の話題に、私のような世間からチョーはみだした四十路のおっさん。さて、何を書こうかいなと思案しとったんですが、えー、試験論文の書き方でもヒトくさりと・・・


 まー、何です。正月っちゅうても、この建設関連業界というところ。資格試験が山ほどある業界でして、それが業務の受注要件になっとるんで、たまったもんやない。

 たまのまとまった休みと申しましても、資格試験の勉強に精出された御同業の方も多かったんとちゃいますやろか。薄うなった頭も下がる思いです。


 さて「五輪の書」っちゅいますと、かの剣豪、宮本武蔵でございますが、何じゃいな「三輪の書」って。

 えー、皆様のお怒りも、ごもっともでございますが、私こう見えてRCCM、土木学会認定1級、技術士と、あまた技術系の論文試験を突破してきまして、その厳しい真剣勝負の中で体得しました「剣の道」、いや「シャーペンの道」その極意、論文の書き方のツボを、そんな愛すべき同業で精進にハゲむ諸氏に公開しようやないですかと。題して「三輪の書」。しばらくの間、お付き合いのほどを・・・ (今回は落語風で読んでね)



一、敵を知るべし


 まず論文試験は「設問者」「回答者(これは自分ね)」「採点者」の3者で行われることを認識せなあきまへん。

とうぜん3人はそれぞれ別人でんな。しかし、「設問者」と「採点者」は共通の「模範解答」を持っていると認識したほうがよろしい。グルですな。ま、この場合グルとは言わんか。「模範解答」がないと、どんな回答が「合格論文」か判定しようがおまへんからな。

「あなたの考えを述べなさい」となっている設問でも、「模範解答」に近こうないと、合格判定はきびしいおます。

なぜなら回答紙数は限られておりますからな。短い制限時間と1800字程度の限られた字数で、模範解答とは異なる論旨を理路整然と展開して、採点官を納得させるのは至難の業です。よほどの知識と文章力に覚えのある御方なら別ですけど・・・。敵は無難な一般論を欲していることを知るべし。



一、負けるが勝ちと心得るべし


 では、「模範解答」に近い合格論文を書くにはどないすればええかと申しますと、まず「試験開始」の合図で問題用紙をハラリとめくります。そこで設問者が「オレに何を書かせたいのか」をじっくり見極めることが肝心ですな。相手の期待にずれた解答をしても、「アタシが聞きたかったんは、そんな答えちゃうんよー!」と、ご機嫌ナナメの嫁か彼女のようにソッポ向かれるのがオチです。

 「その服、よう似合うなー。キミ、センスええわ」とか、「キミんとこのご両親、いっつも、ええこと言わはるわ。オレ尊敬してんねん」とか、心にあろうがなかろうが(!?)、とにかく相手を肯定して、その場を取り繕うことを考えるべきですな。(???)

 ちょっと、よう分からんようになってきましたが、とにかく普段から設問者の意図(建設系技術資格の場合、国土交通省の重点政策とか、白書の内容)をよく読み、相手の考え方、すなわち「一般論」を理解すべし。これは、普段から嫁や彼女の趣味や思考パターン、行動パターンをつかもうと努力するのに似ております。

「負けるが勝ち」。我を通して勝てる相手ではおまへん



一、「打つべし! 打つべし! 打つべし!」 さらに、打つべし!


 「立て、立つんだ、ジョ~~~!!!」ではございませんが、パンチは3連打ともう一手欲しいトコですな。何でっちゅうと論文に説得力と幅が出てまいります。1つ2つはさびしい、それ以上はうざいっちゅうやつですな。

「ええ雰囲気の店」、「美味しい料理」、「プレゼント」の次に「熱い言葉」ちゅうことです。(・・・何じゃそりゃ!)

 

 例えばですな、「高齢化」という背景から「高齢者が関わる交通事故の多発」という問題を抽出して「安全な道路交通をいかに実現させるか」という課題を導いたとします。その対応策として、


 安全な道路空間を実現するため、以下のような施策を推進すべきである。

 ITSをより深化させた運転支援システム (AHS)に関する技術の開発推進

 自転車道、歩行者道の整備と交通ルールの啓蒙

 事故多発区間など危険区間の重点的な改良 


と、施策を1点ではなく、幅を持たせた3点をあげることで「回答者(自分ね)」がこのテーマに広範な知識と改善に対する方向性を持っていることがアピールできます。そのうちの1点にについて詳述すれば、「あなたの考え」たる、自分の意見が出てダメ押しっちゅうわけです。


「このうち、特にAHSについては、近年多発している高齢ドライバーの運転誤操作に起因する事故を減少させるためにも普及がのぞまれる。これは単に自動車のオプション装備とすれば解決する問題ではなく、走行する自動車に情報を提供する道路側設備の普及、また一定以上の高齢ドライバーには運転する車両に装備を促す制度面からの運用など、自動車、道路、そしてドライバーの3者が協働して推進していくことで道路交通全体の安全性向上に対し、より高い効果を発現させることが可能となろう。」


・・・いやーん、もう好きにしてー。(・・・アホか。)


 いくら貴殿が、「もう、高齢者は免許取り上げて、運転させへんようにせなないかんぞ」と本音で思っていても、それ書いたらイカン。それアウトです。なぜなら現時点でそれは、「一般論」ではないからですわ。


 要は「よき夫、よき彼氏」が論文試験では合格できるということですな。嫁ハンにとっての「よき夫」たるには、嫁ハンの思考・行動パターン、嫁ハンにとっての「正しいこと・望ましいこと」を理解しなければなりまへん。

 嫁ハンや彼女は「あなたの考え」を聞きたいのではのうて、「私の聞きたいあなたの考え」を聞いてまんねん!!! ここ重要でっせ!!! (・・・今頃わかったのね、ワシ。)


 試験も同じです。国の政策を方向付けるお偉いさん方 (役人だけではない。審議会に名を連ねる学者さん、業界団体のエライさん方々) が、わが国の土木建設を取り巻く状況の何に問題意識をもって、それを解決するにはどのようにすればよいと考えているのかを知ること。これ大事ですわ。


「国や学協会が示す施策の方向 = 一般的な正答の論旨」つまり白書や産学会の提言です。


ただ、それだけでは「あなたって、フツーでツマらないオトコね。」になりかねません。そこで「らしさ」を出すための「もう一手」が大事っちゅうことです。・・・「ワクワク感」が無くなれば、捨てられまんねん (涙)。


さて、時間も参ったようでございます。長のおつきあい、ありがとうさんでございました。


但馬支店 三輪