フランス映画「嘆きのテレーズ」(1953年 原作エミール・ゾラ 脚本シャルル・スパーク 監督マルセル・カルネ)は、運命に翻弄される 一組の男女の物語。


冒頭、リヨンの街の中心部 ルイ14世の騎馬像が建つベルクール広場の遠景が映り、街中を流れるローヌ川の沿岸、人人がペタンクに興じている風景からはじまるこの作品、、、あまたな人人が かって、この街を訪れ 歩きまわったように、もぐもぐにとっても リヨンは 忘れえぬ街ではある。


病弱でひ弱な マザコンの従兄(ジャック・デュビー)と姑に嫁いだ、生地屋を営むテレーズ(シモーヌ・シニョレ)。窮屈を極めた結婚生活の前に突如、現れた逞しいイタリア人 トラック運転手(ラフ・ヴァローネ)。


不倫の果てに、列車で夫を殺害し、偶々、のりあわせた 復員水兵(ローザン・ルザッフル)にゆすられ 要求通り、現金を渡し、解決したと思いきや、疾走するトラック事故が やがてこの男女の未来を劇的に狂わせる。


ラストは静かな リヨンの街並みの風景の中、一通の手紙が 余韻ある 見事な幕切れの演出のダイナミズムを

創りだす。ドラマティクな結末、エモーショナルなモーリス・ティリエの音楽に 良質な映画がもつ芳醇な味わい、醍醐味を感ぜずにはいられない。