キャリアコンサルタント夢現塾の鈴木です。
本日は対人支援で重要な4つの視点についてお話していきたいと思います。
普段支援をされている方には、若者からシニア世代まで様々な年代の方がいらっしゃると思いますが、どの世代の方と面談をすることになっても重要な視点です
4つの視点とは??
では早速4つの視点を紹介します。
➀認知・・・物事の捉え方は柔軟か? 思い込みはないか?
➁感情・・・感情は安定しているか? 否定的な感情はないか?
➂行動・・・主体的に行動しているか? 行動に無理はないか
④環境・・・環境がどんな影響を及ぼしているか?
以上4つの視点です。
そして、上記の4つの視点は相互に影響し合っています。
心理学では認知行動療法という心理療法がありますが、認知行動療法もこれらに加えて身体の面から捉えています。
支援の際には、これらにプラスの一貫性があるかどうかを考えることも大切です。
もしマイナスの意味で一貫性がある場合は、プラスの一貫性になるように行動や認知にアプローチをしていきます。
4つの視点から事例を検討してみる
●看護専門学校へ通う学生
・母親の強い意向で看護専門学校へ進学したが、看護師に興味があったわけではなく、やってみるときつい仕事で続けられないと感じている。何とか別の仕事も探せないかと思っている。家族に相談したところ、「しっかりしなけきゃダメ」と母親に怒られた。就職を決める段階でどうしたらよいかわからず不安になり相談に来た。
それでは、4つの視点で整理してこの学生をどう支援したら良いか考えてみましょう。
➀認知
・自分には看護師は続けられないと感じている
・看護師の仕事はきついと感じている
・もともと看護師に興味があったわけではない
・何とか別の道を模索したい
(支援のための確認)
・看護師が無理と感じている理由は何か?
・いつから無理だと思ったのか?何かそんな経験があったのか? など
➁感情
・今後の進路をどうしたらいいのか不安
(支援のための確認)
・不安の気持ちを受容・共感
・不安とは具体的にどんな不安なのか?
・その不安はどこから来るのか?
➂行動
・母親の強い意向で看護専門学校に進学
④環境
・母親が看護専門学校を勧めた。
・しっかりしなきゃダメと怒られた
(支援のための確認)
・母親の強い意向とは?
・自分の意思ではどのように行動してきたのか?
・看護以外の仕事ではどのような仕事が気になり何か行動したのか?
・専門学校での環境はどうなのか? など
キャリアコンサルティングの方法
キャリアコンサルティングにおいても、認知に柔軟性があるのかどうか、行動する力があるかどうかを検討します。
ただ単に、就職活動の支援をするだけでなく、自己理解や仕事理解を促し、その上で意思決定を行い方策を実行する。この流れがキャリアコンサルティングの進め方です。
(厚生労働省 キャリアコンサルティングの流れ)
内的キャリアを理解する
キャリアには、「外的キャリア」と「内的キャリア」があります。
外的キャリアは、「職業そのものや、仕事の内容や実績、組織内での地位」などです。
一方、内的キャリアは「自分の価値観・興味関心・得意な能力」で構成され、やりがいや働きがいなど自分で意味付けされたものを指します。
内的キャリア・外的キャリアと聞くと、シャインの理論を思いだす方もいるのではないかと思います「キャリアアンカー」も重要な理論ですよね。
個人と組織との共生を考える上でも、内的キャリアは重要な視点です。
個人個人の認知は、内的キャリアに根差しています。
どんな価値観があるのか、何に興味があるのか、どんな強みがあるのか
これらは問題を解決するためのリソースになります。
一つ一つ丁寧に聴いていくことで、相談者と信頼関係を築き、行動につなげていくことができます。
行動活性化
また、「行動」に対してポジティブな刺激を与え、「認知」を変えようとする方法があります。行動活性化と呼ばれる方法です。
行動活性化は、元々うつ病に対する支援法として認知行動療法で活用されてきました。うつ病でなくても、不登校や引きこもりといった状態にある人や、広く一般の人たちでも元気の出ない状態が続いている場合に活用することができます。
具体的には、散歩やスポーツ、ボランティア等、自分がやっていて心地よいという活動を生活の中に取り込み、段階的に増やして行く方法のことを指します。
あるいは身体のケアをする方法もお勧めです。例えばマッサージに行くことなどです。気分がパッとしないけど、心療内科や精神科にかかるほど心身がままならないわけでもない、そんな時には、行動活性化の方法を検討してみましょう