こんにちはニコニコキャリアコンサルタント夢現塾の鈴木です。

 

 

今日は「動機付け理論」について考えていきたいと思います花

動機付け理論は、人の潜在的な力を引き出し、ありたい自分に向かっていくエネルギーを生み出すための理論です。

教育や医療、福祉、企業での社員育成など様々な場面に活かされています。

 

 

最近は人手不足などから生産性向上についての話題もよく耳にするようなりました。

 

 

日本生産性本部がまとめた2022年の労働生産性の国際ランキングによると、日本は経済協力開発機構(OECD)に加盟する38か国中30位で、比較可能な1970年以降で最低だったということですダウン

 

 

労働生産性が向上していない原因は色々とありますが、モチベーションの向上もその対策の一つと言えるかも知れませんね。

 

 

資格試験においても、キャリコン、社会福祉士系、医療・心理系などでも良く出題される内容になっていますので、代表的な理論と提唱者についてはセットで抑えておきましょう。

 

<代表的なモチベーション理論>

 

stand.fmにて音声配信を始めましたキラキラ

人生・仕事に活かせる考え方のヒントを、経営学の父とも呼ばれるピータードラッカーの教えをもとに考えます。

 

ドラッカーは働く人の個人の強みに焦点を当て、組織の成長を考えました。

ドラッカーは、モチベーションについてどう考えているでしょうかはてなマーク

そんな内容でお話ししていますベル

 

 

 

下記に代表的なモチベーション理論について説明を記載しました。 


試験対策等の学習用にご活用下さいスター

 

 マズローの欲求階層説

アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は、心理学者であり、彼は「欲求階層説」(Hierarchy of Needs)を提唱しました。この理論は、人間の欲求や動機づけについての理解を階層的に示すものです。マズローはこれを5つの階層に分け、下位の階層が満たされることで上位の階層へと進むと考えました。

  1. 生理的欲求(Physiological Needs): 最も基本的な欲求であり、食物、水、空気、睡眠など、生命維持に必要なものが含まれます。これらの欲求が満たされて初めて、他の階層の欲求が重要となります。

  2. 安全欲求(Safety Needs): 生命の危険や脅威から身を守り、物理的・経済的な安定を求める欲求です。例えば、安全な住環境や安定した雇用が含まれます。

  3. 所属と愛情の欲求(Social Needs): 他者とのコミュニケーションや社会的な関係を求める欲求です。友情、愛情、家族などがこれに含まれます。

  4. 尊重と認識の欲求(Esteem Needs): 自己評価や他者からの評価、成功への欲求が含まれます。自尊心や他者からの尊重が重要です。

  5. 自己実現の欲求(Self-Actualization): 最上位の欲求であり、自分自身の可能性を最大限に発揮し、個々の能力や才能を充分に利用することを求める欲求です。個々の目標の達成や創造的な活動が含まれます。

 

 ハーズバーグの二要因説

フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg)は、モチベーションや仕事の満足に関する研究を行い、彼の提唱した「ハーズバーグの二要因説」(Two-Factor Theory)は有名です。この説によれば、仕事に対するモチベーションや満足には、異なる要因が影響を与えているとされています。

  1. 動機づけ要因(Motivator Factors): これらは仕事の中での成果や達成、仕事自体の性質に関連する要因であり、仕事に対する満足感とモチベーションに影響を与えます。主な動機づけ要因には以下が含まれます。

    • 仕事の達成感
    • 責任と認識
    • 仕事自体の性質
    • 個人の成長や発展

    これらの要因が向上すると、従業員は仕事に対してより満足し、モチベーションが高まるとされています。

  2. 衛生要因(Hygiene Factors): 衛生要因は、仕事の環境や組織の要因に関連するもので、これらが不十分な場合には従業員は不満を感じるが、改善しても満足感の向上には寄与しないとされています。主な衛生要因には以下が含まれます。

    • 給与
    • 労働条件
    • 仕事の安定性
    • 組織のポリシーと管理

    衛生要因が改善されても、それがモチベーションに直接的な影響を与えるわけではないとされていますが、不足すると不満を引き起こすとされています。

ハーズバーグはこれらの要因が異なる次元に存在するとし、仕事の改善が求められる場合は動機づけ要因に焦点を当てるべきだと提唱しました。

 

マクレランドの欲求理論

デビッド・マクレランド(David McClelland)は、人間の欲求に焦点を当てた心理学者で、彼の提唱した「成就欲求説」(Achievement Motivation Theory)は広く知られています。この説によれば、人間の欲求は主に以下の3つの種類に分類されます。

  1. 達成欲求(Achievement Motivation)

    • 成功や目標の達成に対する欲求。
    • 挑戦的な目標を追求し、自己のスキルを向上させることで満足感を得る人々。
  2. 権力欲求(Power Motivation)

    • 他者をコントロールし影響を与えることに対する欲求。
    • 人間関係や組織内での影響力を重視し、リーダーシップや指導的な役割を求める人々。
  3. 所属欲求(Affiliation Motivation)

    • 他者との親密な関係や所属感に対する欲求。
    • チームワークや協力を重視し、人間関係の構築が重要となる人々。

マクレランドはこれらの欲求が個々の人に異なるバランスで存在し、特定の欲求が他よりも強く現れることがあると考えました。彼はこれを「ニーズ・プロファイル」と呼び、個人の動機づけや行動を理解するために有用であるとしました。

これらの欲求の強さやバランスが異なることによって、異なる個人やリーダーシップスタイルが生まれると考えられ、組織や仕事環境の適応にも影響を与えるとされています。

 

アルダーファのERG理論

クレイトン・アルダーファー(Clayton Alderfer)は、マズローの欲求階層説を発展させ、自身のERG理論(Existence, Relatedness, Growth theory)を提唱しました。ERG理論は欲求を3つの主要なカテゴリに分類し、個人の動機づけを理解しやすくしました。

  1. 存在(Existence)

    • 生理的および安全に関連する欲求。
    • 生存に必要なものや物理的な安全、健康などが含まれます。
  2. 関連性(Relatedness)

    • 所属と愛情に関連する欲求。
    • 他者との関係、社会的なつながり、愛情などが含まれます。
  3. 成長(Growth)

    • 尊重と認識、自己実現に関連する欲求。
    • 自分の能力を最大限に発揮し、成長すること、他者からの評価や認識が含まれます。

ERG理論では、これらの欲求が同時に存在し、個々の欲求が満たされない場合でも他の欲求に焦点を移す可能性があるとされています。また、マズローの欲求階層説と異なり、上位の欲求に進むためには下位の欲求が完全に満たされる必要はないと提唱されています。この点がERG理論の特徴的な要素です。

 

デシの内発的動機付け理論

リチャード・デシ(Richard Deci)は、内発的動機付けに焦点を当てた心理学者で、自己決定理論(Self-Determination Theory)を提唱しました。この理論は、個人の行動がどの程度自発的であるかに基づいて、動機づけを理解することを目的としています。

自己決定理論には以下の3つの基本的な心理的ニーズが含まれています:

  1. 自己決定(Autonomy):

    • 自分で選択し、行動する能力。個人が自分の意思決定に対して感じるニーズです。
  2. 関連性(Relatedness):

    • 他者との関係やつながりのニーズ。社会的なつながりやコミュニケーションの重要性が含まれます。
  3. 能力(Competence):

    • スキルや能力を発揮するニーズ。仕事や活動において成功し、成果を上げることの重要性が含まれます。

デシによれば、これらのニーズが満たされると、個人はより内発的な動機づけを持ち、自発的かつ意欲的に行動する傾向があります。自己決定理論は、外発的な動機づけ(外部からの報酬や罰に基づく動機づけ)と比較して、内発的な動機づけが行動の持続性や満足度においてより良い結果をもたらすと考えています。

この理論は教育、組織行動、スポーツなどさまざまな領域で応用され、個人がより意欲的で持続可能な行動をするためには、自己決定、関連性、能力の三つの心理的ニーズが重要であると示唆されています。

 

河合隼雄の理論

河合隼雄は日本の心理学者で様々な著書があります。代表作「母性社会日本の病理」の中で「場の倫理」「個の倫理」が日本に共存していると指摘していました。

 

場の倫理とは、与えられた場の平衡状態の維持にもっとも高い倫理性をおくというものです。また、それは日本が母性原理で動いていることに起因すると考えています。一方で欧米は父性社会であり、個人の能力差に重きをおく「個の倫理」に重きをおくと考えています。このような観点から欧米と日本のモチベーション理論について考察しています。日本社会はこの「場の倫理」と「個の倫理」という2つの倫理性を上手に天秤にかけて行動していることが特徴というわけです。