キャリアコンサルタント夢現塾の鈴木です。
本日は、様々な対象に効果を持つ、
「グループ・アプローチ」についてです。
もちろん、キャリアコンサルティングにおいても、グループを対象として行うことがあります。
グループ・アプローチとは?
グループアプローチとは、
「共通の目標と類似の問題を有するクライエント数人が会合し、リーダーの助言のもとに相互の情報、意見を交換し合うことによって、各自の問題解決に資することを目的にするグループ活動」
と意味されます
目的
グループアプローチは、単に一方的に支持、情報提供されるものではなく、
参加者相互の意見交換、双方向の意見の交流を通して、
参加者全員の持つ経験や背景を考慮しながら、
各人の持つ問題解決にヒントを得たり、
相互の共感を共有したりするなどして、
学習、動機付け、問題を解決するために
必要な態度の形成に至ることを目的にしています。
現在、教育、介護、福祉、企業などにおいて実践されていることだと思います。
グループアプローチの効果を上げるために
グループアプローチの効果を上げるために、一般的に次のような原則が機能されていく必要があるとされます。
➀メンバーは互いに相互作用し、双方向のコミュニケーションがある。
②目標をグループ自身が決める場合でも、外部から決められる場合でも、メンバーは、それを共通目標として共有する。
③メンバーの行動を規定する基準がある。その基準によって行動は報酬を受けることもあるし、罰せられることもある。
④メンバーには一連の役割が設定され、その役割に従って、特定の機能が実行される。
⑤メンバーはそれぞれの個人的特徴を行使し合う。
⑥グループの行動は、そのグループ・メンバーの各人のニーズを満足するように行動する。
様々なグループアプローチ
上記のようなグループアプローチの原則に従いながらも、基本的な考え方、手法の違いなどによって、プロセスが変わっており、色々な呼び方で呼ばれている。
★サイコドラマ(心理劇)
1930年代にモレノが開発した、グループ・サイコセラピーの技法で、即興劇を媒介にして自己理解や自己洞察をもたらす。
★Tグループ
トレーニング・グループの略称。10名程度のメンバーが車座になって話し合うことで、「今ここ」で生じているプロセスに気付き、その気付きを適切な行動へと活用していく。
★ベーシック・エンカウンター・グループ
1940年代後半にロジャーズらによって開発された。エンカウンターとは、出会いを意味している。フリートーク主体で進められる。人間の心理的成長と対人関係におけるコミュニケーションの改善を狙いとする。
★構成的グループ・エンカウンター
予防的・開発的カウンセリングのグループワーク。國分康孝がベーシック・エンカウンター・グループを基礎として創始した。用意されたエクセサイズを体験しながら、シェアリングを行うことで、親密な関係作りと自己の盲点に気付く。学校教育などで、多く取れ入れられている。
構成的エンカウンターのルール
➀守秘義務がある。
②批判的な発言や評価的な発言をしない。
➂発言の強要をしない。
➃エクササイズを強要しない。
※ルール違反を行った場合には、リーダーは必要に応じて介入することがある。
★セルフヘルプ・グループ
同じ悩みや問題を抱えた人々が集まり、相互に援助し合うことで、自己の回復を図る治療グループ。
グループには治療者や指導者をおかず、自助を原則とする。疾病や障害、依存症、精神障害、犯罪被害や遺族など、様々な問題解決のために経験や情報を分かち合う。
グループワークを行うに当たって大事な事は、
その「目標」を定めることです。
グループワークのプロセスの中で、可能性に対する自信や、自己理解、他者への理解を深めることになります。また、コミュニケーション能力や、自己表現能力の向上にも一役買うことができるのも特徴ですね
リーダーとしてのファシリテート
ここでのリーダーとは、目標達成の方向へ向かってメンバー同士の話し合いを促進するファシリテーターです。教師でも講師でもありません。
メンバー全員の信頼を得るように努め、公正に進行するためにリーダーシップを発揮しなければなりません。
皆さんも、このようなリーダーとして、ファシリテートする場面もあるかも知れませんね。
ただ、話の展開の途中で、どうも上手にかみ合っていないと思う場面に遭遇することもあります。
ここでは、少しだけリーダーとしての関わり方を見ておきます
発言しようとしない参加者に気を配る
他の参加者の発言に、どのような反応をしているか(首を振るとか)を見極めながら、名指しによって答えやすい質問を行い、発言を促す。
(質問例)
「××さん、あなたならどうしますか?」
発言しすぎる参加者には
「今の××さんの発言についてどう思われるか」と
他の参加者に質問する。
「他の人の意見も聞いてみたいと思います」と制止する。
話題が逸脱していると感じるとき
目的を再確認し、参加者全員の関心と注意を元に戻す。
(質問例)
「この話は私も面白いと思いますが、残り時間も少ないですし、~という話題に戻ってはどうでしょうか」
「××さんがおっしゃいたいのは、~ということでしょうか、△△との関わりは具体的にはどう関連するのでしょうか」
特定の参加者への質問が集中しているとき
「みなさんならどうでしょうか」と、いったん全体に対しての質問と捉えさせる。
(質問例)
「みなさんに、同じような経験もあるかも知れません。自分の時はどうだったでしょうか?」
参加者が自分の考えをうまく言い表せないとき
(質問例)
「違っているかもしれませんが、△△さんの仰いたいことは~ということであっていますか?」
「つまり~ということですね」などと要約を行う。
間違っていたらごめんなさいという一言を付け加えると良いですね。
最後に
リーダーとして、メンバーに関わられている方は、まとめるのが大変なこともあることと思います。
なるべく一人一人の意見に
「それは良い考えですね」
「今の発言は私も重要だと思いました」
などとコンプリメントしながら進めることが大事ですね
また、できる限り全体の問題だという事を意識させるために、「ご自身だったら」どうするかという質問が有効です。
「何か付け加えたいことありますか?」
「こんな場合はどう考えますか?」
などと、0から作る回答ではなく、他人の意見を参考にした回答でも良いかと思います
グループアプローチを活用する際には、是非参考にしてみて下さい