キャリアコンサルタント夢現塾の鈴木です。
本日は現実療法についてです
1960年代精神科医グラッサーによって提唱されたカウンセリング手法です。
試験にもよく出題されますね
過去や感情、症状に焦点を当てたカウンセリングのアプローチとは異なり、
現在の満たされない重要な人間関係に焦点を当て、問題解決を図るカウンセリングです。
カウンセリングの具体的な展開
❶カウンセリング関係の確立
カウンセラーとクライエントとのラポールを確立する段階。
良好なカウンセリング関係をつくるための環境づくりのために、「してはならないこと」を重視する。
それは、
「言い訳をさせない」
「非難・論争をしない」
「簡単にあきらめない」の3点である。
❷クライエントが自分自身のイメージを評価する
クライエントの願望、欲求、知覚を知り、カウンセラーとクライエントがそれを分かち合い、クライエントがカウンセリングを通じて確認する。
具体的には、
「何を欲しているか」
「本当に欲していることは何か」
「何を期待されているか」
「どんな見方をしているか」を尋ねる。
「カウンセラーの見方」を話す。
「カウンセリングを受ける決意」を尋ねる
という手順である。
❸行動全体を探り、評価させる
どんな方向に向かっているか、どこに行き着くか話し合う。
具体的には、
「あなたは何をしているか」、
そのことの評価(役立っているか、求めていることが手に入るか、現実的か、達成可能かなど)を尋ねる。
➍計画を立て、決意させる。
願望と欲求を満たす計画を立て、それを実行する決意をさせること。
決意を引き出すことには、
紙に書いたり、計画表をつくったり、それを関係者に表明したりすることも含む。
カウンセリング・サイクルの中ですべきこと
「傾聴を行動に示す」、「裁かない」、「予想されないことをする」、「ユーモアを使う」、「ありのままの自分を表す」など具体的に示す。
相談・フォローアップ・継続教育
これは、カウンセリング・サイクルが進行する中でカウンセラーが行うべきことである。「相談」はスーパービジョンを受けること。「フォローアップ」は、カウンセリングが終わった後で、クライエントと連絡を取ること。「継続教育」はカウンセラー自身が勉強を続けることである。
現実療法から選択理論へ
グラッサーは、1970年代にはカウンセリングにステップを使っていたが、後に「コントロール理論」を現実療法の基本的理論とするようになり、1996年にコントロール理論を「選択理論」に改名しました。
選択理論とは、脳の働きをベースに、人間の行動がどのようになされるものかを理論化・体系化したものです。
選択理論では、
「すべての行動は自らの選択」であると考えます。
グラッサーは、「すべての不幸な人が抱えている中心問題は、(貧困不治の病、政治的横暴などを除けば)お互いが望んでいるのに、互いにうまく関わっていけないこと」であると主張します。
そして、それは外的コントロールを使用しているからです。
相手の行動を直接変えることはできません
しかし、それを外的にコントロールしようとすると問題が発生するというのです。
外的コントロール心理学の表れ方は、致命的な7つの習慣に変化します。
- 批判する
- 責める
- 文句を言う
- ガミガミ言う
- 脅す
- 罰する
- ほうびで釣る
人は、生存、所属、力、自由、楽しみという5つの基本的な欲求をみたすために、遺伝子によって内側から動機づけられていると言っています。
しかし、この習慣が実践されるところでは、基本的欲求が充足されず、問題が発生するということのようです
したがって、
相手を受け入れ、対話をするということが重要です。
選択理論を用いたマネジメント
企業の経営管理や組織運営において、このような内発的動機付けを基盤としたマネジメントがとられています。
これを選択理論では、リードマネジメントというそうです。
リードマネジメントでは、プロセスに焦点を当て、社員の結果は社員が最善の選択をした結果であるということを前提に話を進めます。攻撃的な言葉遣いはしません。
常に社員が自ら気付いてより良い行動を選択できるように促すということが特徴です。
相手とコミュニケーションをとる際に、その人の基本的な欲求の強い部分が満たされるように、コーチングして、人間関係を作りながらも、成果にこだわるという考え方です
キャリアコンサルティングでも重要な考え方になると思います。
参考文献
グラッサー. W. (柿谷正期訳) 2000 グラッ サー博士の選択理論 アチーブメント出版
グラッサー.W. (柿谷正期・柿谷寿美江訳) 2000 15人が選んだ幸せの道 アチーブメント出版
『現代カウンセリング事典』(国分康孝編、金子書房、2001年12月)より
キャリアコンサルティング理論と実際(5訂版)
さらに詳しくは、選択理論の本などをご参考に
学校において、選択理論を実践するための良書です。