クリスマス | Happy color ~夢工房~

クリスマス

*クリスマス*


赤と緑でクリスマスムードの店内。

お客さんが2人入ってきた。

「いらっしゃいませ~」

”サキ”はにこやかに言う。

しかし、コンビ二の店員の決まり文句など客は聞いているわけがない。

カップルであろう2人の客は「楽しかった~、次はどこ行くの?」なんて、楽しそうに話している。


「240円になります」

さっきのカップルが暖かいミルクティーとコーヒーを買った。

300円を受け取り、レシートと60円のおつりをわたす。

「ありがとうございました~」

と、また”サキ”はにこやかに言うが当然カップルは聞いていない。

別に聞いてほしいわけではないが”サキ”は少し寂しくなった。


「彼氏か……、いいなぁ」

思わずそう呟いていた。

「でも、彼氏なんて作ってられないよね、うん」

そう、自分に言い聞かす。

”サキ”には2人の妹と1人の弟がいる。

4人兄弟の長女として家に少しでもお金を入れようとバイトを頑張っているのだ。

「遊んでなんていられない」

”サキ”はずっとそう自分に言い聞かせて高校生活を続けている。

「面白くない青春だな」と、思うこともあるけれど、仕方がないのだ。


「もう、10時ですから、あがっていいですよ」

店長がそう言う。

「はい、お先です」

「お疲れ様」

”サキ”は帰り支度を始めた。

「店長、またお弁当をもらって帰っていいですか?」

”サキ”はいつも帰りに賞味期限が切れた弁当をもらって帰る、少しでも節約になればと思って。

それを店長もよく知っているので断ることはしなかった。

「かまわないですよ、そうだ、ケーキも持って帰りなさい」

「えっ?いいのですか?」

「当然だよ、いつも頑張ってくれてるし今日はクリスマスだコンビニで売っているケーキであれだけど、妹さん達と一緒に食べなさい」

店長はにっこりと笑ってそう言った。

「ありがとうございます!!」

”サキ”はお礼を言ってケーキももらって帰った。


もらったケーキはチーズケーキ、小さいが一応ホールだ。

「喜ぶかな?」

”サキ”は嬉しそうに呟いた。

今までクリスマスにケーキなんて食べられなかった。

でも、今日は違った。

妹や弟が喜ぶ顔を想像して”サキ”は嬉しくなった。

そして、あっという間に家に着いた。

しかし、家の窓は真っ暗だった。

「もう、寝ちゃったのかな?」

今はもう夜の10時を過ぎている、幼い妹達はもう寝ていても不思議ではない。

「ケーキは明日かな」

ちょっと残念だなと思った”サキ”だが仕方ないことだと自分に言い聞かせ家の鍵を開けた。


パーン!!

鍵を開けた途端、そう聞こえてきて”サキ”は驚いた。

「お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!!」

電気がつき妹達がいっせいにそう言った。

「お……誕…生日?」

キョトントした”サキ”に弟は。

「姉ちゃん、自分の誕生日忘れたの?」

と、からかった。

だが実際に”サキ”は忘れていた、クリスマスが自分の誕生日だったことを。

自分の誕生日なんて妹達が出来てから祝ってもらった覚えがなかったから。

見ると、テーブルの上にはケーキが置かれていた。

可愛いサンタとトナカイが乗っていた。

「3人のお小遣いをあわせて買ったんだよ!」

「そうだよ!このパーンってなるやつも買ったんだよ!!」

妹達のその言葉を聞いて”サキ”は涙が出てきた。


「早く座ってよ!」

「お姉ちゃんが主役なんだから!!」

妹達が”サキ”の手を引く。

「ありがとう……!!」

”サキ”のその声は震えていた。


「もらってきたケーキ、無駄になっちゃったかな?」