11月28日(月)に、珠洲市生き物観察会の発表会がありました。
石川県珠洲市では2013年から、生き物観察会の授業を行っています。これは地域の農業や暮らしと生物多様性の繋がりを、体験を通じて学んで貰う目的で行っています。当初は3校での実施でしたが、昨年度は全9校の参加となり、今年度で4年目を迎えています。
事業は珠洲市の「NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海」に委託されており、筆者はNPOおらっちゃの会員として、観察会の指導に当たっています。
参加児童は3年生(複式学級の場合は2年生もしくは4年生も参加)、観察場所は各校区内にある水域2箇所で水の生き物を対象として、年2回の実施です。観察場所は地域の農業との繋がりを知って貰う為に必ず水田を1箇所含めており、更に異なる水域での生き物の違いを知って貰う為に2箇所の水域(水田と川、水田と溜め池、水田とビオトープ、または農法の異なる水田2箇所)での実施となります。季節間の違いも知って貰う為、6月頃(田植え後)と9月頃(稲刈り間近)の2回実施となっています。
観察会で見つかった生き物については後日まとめの授業を行って復習して貰い、11~12月には児童の手による発表会を行っています。これは、自分達で調べて伝える力をつけて貰うことを目的としています。
今年の観察会では、希少種19種を含む125種(2016年12月2日現在)が見つかっています。観察会では特に水生昆虫が多く、ゲンゴロウ類やガムシ類、ミズスマシ類などの水生甲虫、コオイムシやアメンボなどの水生カメムシ、ギンヤンマやシオカラトンボなどのトンボ類、更には普段馴染みの薄い川虫(カゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類、ヘビトンボ類など)が見られる他、ドジョウなどの魚類、モリアオガエルやトノサマガエルなどのカエル類、オオタニシやドブイガイ類、イシマキガイなどの貝類など多様な生き物が見つかっており、特に田んぼに馴染み深いドジョウやタニシ、カエル、今では希少となったゲンゴロウなどが広く見つかることで、能登の豊かな生物多様性を反映した結果が得られています。
今年度の発表会は、ラポルトすずで行いました。発表会の流れは、舞台発表~ポスター発表、児童や協力農家からのコメント…という流れです。開始当初は全校で舞台発表をして貰っていましたが、参加校が増えたことにより舞台とポスター発表となりました。今年は舞台発表1校、残り8校がポスター発表です。
発表内容については、観察場所について、得られた生き物について、わかったこと、地元の協力農家へのメッセージ、という流れに沿って貰い、中身については各学校にお任せ、となっています。

舞台発表は、市街地に比較的近い直小学校です。ちょっとした劇仕立てで地域の水田が生き物の棲み場所になり豊かな生物多様性を支えていること、地域の農家の皆さんが頑張ってくれているから貴重な棲み場所となる田んぼが残っていることを伝えてくれました。過去にも直小学校は、児童らに人気のアニメ「妖怪ウォッチ」をモチーフにした劇仕立てのユニークな発表をしてくれています。

舞台発表の次は、通路を使ってのポスター発表です。学校ごとにそれぞれの方法で、地域それぞれの地形、豊かな生物多様性について発表してくれました。発表の持ち時間は5分、限られた時間で中身を伝えることは大変ですが、発表することも、そして発表を聞いて貰うことも重要な授業です。

ポスター発表も終わり、参加児童や協力農家からの感想をコメントして貰いました。ポスター発表はどの学校もしっかり発表練習してきましたが、大勢の中で練習なしのコメントを発表するのは児童には大変だったようです。それでも、みんな一生懸命思いのたけを伝えてくれました。
発表を見に来てくれた協力農家の皆さんは児童らが生き物に触れて生き生きとしていたこと、頑張って伝えてくれたのを見て、自分達の農地が実は貴重な生き物の棲み場所になっていることを実感して下さったようです。普段気にかけていなかった生き物のことも意識するようになった、とコメントして下さる農家もありました。一方で、児童が自分の水田を使って楽しんで学んでくれていることを喜びながらも、高齢で来年は続けられないかも、と話す農家の方もいました。過疎高齢化の厳しい現実を垣間見る一幕でもあります。それだけに、能登の地域の農業と生き物との繋がりの大切さを学んで貰い、伝えて貰うことの大事さが身に染みます。
終了後は来年度実施の為に、各学校関係者から意見をお聞きしました。学校側への負担は小さいものではなく、年2回、更に発表会への参加は大変としながらも、続けたい、可能なら回数を増やしたり別の観察会もしてみたい、保護者参加型の観察会もしてみたい、との要望も頂きました。
来年度のへの継続の為にも、もっと様々な工夫が出来れば、と思います。