企画に携わるようになってからのここ2~3年、作家活動が疎かになり、
「あいつは、作家よりも企画者になるのか?」まで言われだし、、、
「こりゃいかん!いかんでー!!」と作家活動に重点をおいた一年。
■作家活動
4年ぶりの個展に焦点をあわせて、動いた1年。
7月19日に札幌国際芸術祭2014「センシング・ストリームズ」北3条広場における映像プログラム「北海道映像アートコンテンツ」に映像「ドローイングシリーズ」の#2と#3を出展。このシリーズは、作品自体がドローイングのように思いついたらどんどん撮っていくくらいの気負いのない形で伸び伸びと発展・拡張させていきたい。
8月1日からELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / GINZA とELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / SEMBA での展示。人生初の服飾ブランドの店内展示。銀座と大阪の2カ所で個展を同時にスタートするのも人生初。全て新作と再制作。2カ所の個展は想像以上に過酷でしたが、仕事の進め方、予算管理や作品輸送など、海を隔てた北海道を拠点にしながら道外で展示することについて、貴重な経験をさせていただいた。
8月23日から「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014」での展示。高橋喜代史としては万字線朝日駅にて新作を展示。自分のなかでは全く新しいスタイルの粘土と木の板のみの作品で、立体絵巻物的に炭鉱の街の歴史(時間の流れ)や場所(形)を作家個人のフィルターを通して抽象的に作品化。あかみどりは、鉄塔に展示を依頼されるがギリギリまで何を展開するかアイデアが生まれずかなり苦戦した。旗をとりつけなびかせるも、鉄塔にからまるなど自然環境の中での展示の難しさを改めて知る。
9月5日からCAI02で4年ぶりの個展「border project 1」3年間試行錯誤しながら一部周りの人達と対話や相談しながら、温めていたアイデアをようやく作品として発表できてホッとしている。自分では充実した展覧会だと思っているが、もうあと2点勝負作があったら大満足だったろうなと反省もしている。時間が経つにつれプロジェクト全体としての課題も見え始め、見てくれた人達との会話も進み、プロジェクトの今後についても考えが少しづつまとまってきた。
9月13日から札幌市西区の「もくもくアートフェスティバル 」にあかみどりで参加。伐採木を使ったアートプロジェクトとしてデリバリーサプライズピザを始める。釜を作り、薪を割り、ピザを作り、サプライズでお届けする。という一連のプロジェクト。最終的なアウトプットは映像作品。あかみどりに関しては、炭鉱でもそうだが今後更なる精度を高めなければならない。課題山積。
10月3日テラス計画にて「アイデアのかたち」展にアイデアノートを出展。実現可能・不可能は別にしていつか実現させたい作品プランの一部を1冊のノートにまとめた。クスクス笑ってもらえたので、まぁ良かったかな。
12月5日、東京都美術館で「 Ezotic Caravan -国の北から-」に参加。主催者側の要望もあり、ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / GINZA に出した「ドーン2014」を出展。Ezoticチームと出会えたのが大きな収穫でした。楽しかったっす。
今年は、全ての展覧会で全て違う作品を出そうと企てていた。
1、芸術祭連携企画では、ドローイングシリーズの新作2点
2、イッセイミヤケでの個展は、擬音シリーズの新作7点、再制作3点
3、炭鉱アートプロジェクトでは彫刻的インスタレーションの新シリーズ
4、自身の個展ではプロジェクト型の作品の新シリーズ
5、もくもくではあかみどりで問題解決型の作品と映像作品の新シリーズ
と、全て違うスタイルの、全て新作で臨んだ1年だったので、自分的ではやり切った感があるのだが、、、周りの評価はさほどでもなく、来年は更に頑張ろうと思った次第。新しいチャレンジとかって見る人にとってはどうでも良かったりするんですよね。いいか、わるいか、好きか、好きくないか、カワイイか、カッコイイか、価値観や判断基準がそれだけではつまらないと思っているんです。
今年の軸はやはり個展至上主義者としては、個展「border project1」。ようやく、自分がやりたかったことを始めることができた感覚と手応え。2020年をめがけて、北方領土を結ぶ綱引きをどこまで実現できるかは判らないが、「border project1:北海道/綱/ロシア」の推進に向けて動いていきます。
他にも、ISSEY MIYAKE で僕が展示することに周りは衝撃だったらしく、会う人会う人に「どういう展示?」とか内容は一切聞かれず「どこから話がきたの?」と質問された。みんなそっちが気になるのね(笑
■企画について
フリーランスのコーディネーターになって2年目。
500m美術館、PARC、すすきの、もくもく、テラスと企画もなかなか忙しく。
3月12日、札幌駅前通地下歩行空間でのPublic Art Research Center3[PARC3:small world]は、蓮沼フィルのライブ、今村遼佑、岩崎貴宏、早川祐太、久門剛史らによる作品展示。いすづくりWS、工藤安代の講演という内容で、PARCという企画の骨格というか方程式が3回目にして、ようやく組み上がってきたように思う。
作品展示+ワークショップ+講演+α=PARC
+αが毎度変動(PARC3だと蓮沼フィルのライブ)
500m美術館に関わるのは3年目、今年は初の試みとして札幌をテーマにした建築の展示 Sapporo Section:Architecture「美術と建築、これからの札幌」を開催、とても評判がよい。もしかすると今までで一番、評価が高いかもしれない。この高評価にはいくつもの示唆が含まれている気がする。パブリックな場所での展開について、今後の参考材料となる。
8月28日に、越山ビルの越山計画から、赤レンガテラスのテラス計画に移転する形で眺望ギャラリー[テラス計画]がオープン。以前のリノベ物件とは違い、新築かつ人をはりつけることができない状況のなか、どのように場所を展開していくか?半年経つが、いまだに試行錯誤中の難題物件。ポテンシャルが高い場所だけにしっかりとした運営モデルを構築できれば、面白い場所になると思うのだが。。。
9月19日からは、芸術祭の会期終盤に合わせて「すすきの夜のトリエンナーレ2014 -コインの裏-」を開催。少ない予算、短い会期ながら、大勢の方に来ていただく。昨今取りざたされている地域系アートプロジェクトへの苦言に返答する一つの形として、美術批評を度外視せずに、ハードコアで見応えのあるアートプロジェクトになっていたのではないかと自負している。石倉美萌菜、泉太郎、Orrorin、小泉明郎、鈴木涼子、高嶺格、丹羽良徳、東方悠平、百瀬文ら9組の豪華な出展作家陣。運営メンバーの今村育子、川上大雅、佐藤史恵、佐野由美子、穂積利明によるチームワークと適材適所っぷりも良かった。
企画としては、自分の中でPARC3をやり遂げたことが大きかった。作品を展示してくれた4名の作家達の作品も素晴らしく、人柄も最高で、アルバイトの美術学生も巻き込み激論の夜があったり、蓮沼フィルという自分の専門領域ではない音楽イベントも盛り込んだりと、少々背伸びした感はあるのだが、ようやくアートプロジェクトとしてスタート地点に立てたと思っている。ここからどのように発展させていくか思考を深めていく。
■私的雑感
今年は、札幌国際芸術祭(SIAF)バブルとでもいいましょうか、芸術祭期間中の2~3ヶ月に仕事が集中し、とにかく尋常じゃないくらい忙しかった。こんなに忙しい3ヶ月はもう2度とないであろう。
7月19日に芸術祭が始まり500m美術館の搬入、新作映像2本を制作し道内作家枠で出展
8月1日から銀座と大阪のELTTOB TEP ISSEY MIYAKE の設営搬入
8月23日から高橋個人とユニットあかみどりでそらちの炭鉱アートプロジェクトに出展
8月28日からテラス計画のオープン&オープニング企画展スタート
9月5日からCAI02で個展「border project 1」
9月13日から「もくもくアートフェスタ」にあかみどりで出展
9月19日から「すすきの夜のトリエンナーレ2014 -コインの裏-」を企画運営
10月3日からテラス計画で「アイデアのかたち」展に出展
10月11日から500m美術館で「美術と建築、これからの札幌」
という具合で、毎週のように搬入と搬出が続くという怒濤の展示ラッシュ。完全にキャパオーバーしてしまった。特に誰かに迷惑をかけたとかはないので、ギリギリセーフだけれど、クオリティや宣伝広報などもっとできたことはあるよな、などと反省材料となる。周りの人達のサポートがあってようやく乗り切れた。サポートしてくれたみんなに感謝。
4月に市原アートミックスと六本木アートナイト、市原での指輪ホテル最高だった。
7月は、だて歴史の杜カルチャーセンターにてマームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------」最高だった。
10月中旬に一段落するなり、韓国(光州ビエンナーレ、メディアシティソウル)と、
横浜トリエンナーレ、東京の美術館・ギャラリー巡り。
11月はアサヒアートフェスティバルの助成金報告会で別府へ。
国東半島芸術祭、福岡アジアトリエンナーレ、北九州、山口、広島など九州・西日本を巡る。
12月にも、台湾(台北ビエンナーレ、故宮博物館)へ。
映画は「インターステラー」最高だった。
2年ぶりではあるが、年末恒例ともいえる坂東史樹チュートリアルも実施。
やはり坂東さんと話していると色々と見えてくるものがある。さすが、凄い。。。
2013年のようにヨーロッパ旅行はそうそうできるものではなく、国内数カ所と、韓国と台湾を旅して回る。アジアは安くて近くてゴハンが美味い。国内も国外も、初めて行く場所だらけで、ついつい札幌・北海道・日本を見返して物思いにふけってしまう。
来年は、じんわり来るようなものを作りたいし、展覧会も多くないので、じっくり時間をかけて自身の作品制作と向き合いたいな。チュートリアルで、坂東さんと話し、その後も色々と考えているのだが、自分が今まで「瞬間」という「時間」にこだわって作品を作ってきたことを改めて強く自覚した。今後はより明確に、瞬間という時間を感じる作品(状況)を作ろうと思っている次第。