2013年 総括 | ハイブリッドアート
今年を振り返ると、なかなか激動の一年でした。
まずは、3月中旬に3年間お世話になった S-AIR を退社、アテもないまま独立という
大きな転機というか、転換点でした。

■作家活動

3月のFABULOUS WALLでの小さな展示。新たな試みをほんの少し進めることができたが、
もっと発展させたかった。一気に全てを変えるのはなかなか難しく、周到な準備が必要。

6月の「under¥50,000」展は、以前に企画していた「くだらない展覧会」にだすようなクスリと
笑えるかもしれない作品を出品。自分には売り作品がないのが最大の弱点であると再度痛感。

7月、あかみどりでロックフェス「join alive」に初参加。今後も継続展開になれば
年々面白くなるプランなのだが、野外展示におけるスケールや強度など課題を発見。

9月、炭坑アートプロジェクトに昨年に続き出展。昨年出品した「ホッパーサウンド」の
第二弾として純然たる音のみで作品化するが、音と視覚における関連性をどのように見せるか?
が今後、音の作品を展開していくうえで体重をかけていく核になる。

などなど、作家活動として個人的には新しいことへ挑戦させてもらい、
今後の課題と可能性をいくつも抽出させてもらった。
大きな変換としては「擬音」⇒「音」そのものへと照準を絞りこんでいった1年だったが、
学生時代から、音の作品や、音と映像の作品をつくっていたので、原点回帰に近い。
来年からは更に、学生時代を彷彿とさせる全く別のプロジェクトを始動させる。
今からとても楽しみ。


■企画

今年の特徴としては、独立しフリーになったことで
企画の仕事をいくつかいただいたことが個人的にはとても大きな変化。

500m美術館の企画は昨年度より引き続き、1年間任せてもらい、初年度よりは
多面的に見れる企画をつくれるようになってきた手応えもあるが、
公共空間でハードコアに実験したのは賛否両論で、やはり公共空間には公共空間なりの
戦い方があることを思い知る。この思い知るに至るまでには実践が必要で、
実行する前から諦めないようやるしかないのだが、
かといって敵対関係を作らないよう、美術のための美術に終始しないよう、
公共空間なりのバランスに留意しながら構築していく必要があるのだなと。

他にも札幌駅前通地下歩行空間では「Public Art Resarch Center:PARC」という
アートプロジェクトを立ち上げ、3月と9月に2度企画させてもらう。
公共と芸術の関係について思考を続けながら、既存の価値観に縛られずに
パブリックアートの概念を拡張したい。モノでなくコトを体験する、
開催期間のみで終われば消えてしまうような、動的なパブリックアートを
チ・カ・ホという流動性の高い公共空間で展開できればと企んでいる。

さらには、越山計画という空きビルの有効利用事業にも関わらさせていただき、
ボランティアベースで集まった有志達と10ヶ月にもおよぶプロジェクトを遂行。
展覧会しか作ってこなかった自分が、スペースの立ち上げから企画まで携わる。
全く経験していない分野のため、内装工事の段階から多くのことを学び、
越山計画を通じて、たくさんの出会いと経験とアイデアを獲得。

秋には、CAIの佐野さん、cojicaの川上くん、キュレーターの大下くん達と、
「すすきのアートプロジェクト」を開催。来年の準備は既に始まっていて
今年よりも面白く発展させていきたい。

■私的


5年ぶりのヨーロッパも豊かな経験となる。
9月末~10月上旬にかけ約2週間の小旅行、非常に強い刺激と示唆をえる。
ベネツィアビエンナーレを中心に、ミュンヘン、ブレゲンツ、ローマ、パリ、ロンドンを駆け足で回る。

ポンピドゥーでのピエール・ユイグ回顧展 Site Centre Pompidou Exhibition Pierre Huyghe
があまりに素晴らしく。深い衝撃をうけた。
犬、蟻、鳥男、蜂、蟹、ヤドカリ、パフォーマー、、、
生態系そのもののような、まさに生きている展覧会。
周縁を構築することで、中心を象っていく。
決して中心には触れず、語らず、示さず、中心の外縁をふちどっていく。
長い年月、一貫した問いかけから制作しているため15年前の作品が今なお輝きを増す。
中心が語られないため、鑑賞者は多面的に解釈し、鑑賞者の数だけ解釈が生まれる。
衝撃度でいうと過去最高レベルで、サイモン・スターリング以来の絶望感と距離感を味わい、
今までに考えてきた、コンセプト/現代アートに関する思考を再構築する。

作品リストを見ると、回顧展にでている3作品を日本人が所有していた。
しかも、その3作品が実に印象深い作品で恐れ入る。日本もまだまだ捨てたものじゃない。



2013年の最大の反省点は、
あまりにも企画などにエネルギーを注ぎすぎたため、
作家活動、コンペや、AIRへのアプライ等が全くできず、
制作も従来よりもおろそかになってしまい、、、
とてもとても悔しい思いをした1年でもある。

来年は、企画も継続していくつか手掛けるが、
より作家活動に重点を置き、作品制作に従事する1年としたい。

というわけで、2014年は4年ぶりに個展やります!