お盆がガラリと辛いものになって、三年目。
気は重いけど、義実家がお参りに来るから、準備を始めた。


まず、盆提灯を飾った。
芙蓉の花の電飾も。光り方が、まるで
TDLのエレクトリカルパレードみたいキラキラ
『どう、お父さん?あの世界観、好きだったでしょ…』


しばらく飾っていなかった生花も飾った。
『お花を飾ってもたいてい無反応だったけどね…』


ビール、好きだったからいつもお供えしてる。ちっとも減らないから寂しい。
仕方ないからお供えしたあとは父に飲んでもらってる。


お客さんと食べる仕出し弁当を予約した。
せっかく来てもらうから、手土産も…。
簡単で悪いけど、何かすごく足りない気がするけど、これで義実家を迎える準備が整ったことにしてしまう私…。



迎え盆の前日に来るということだけど、構わない。お墓はまだないから、いつでも家にいるはずです。
迎え火も焚かなくていい、よね?


義実家に会いにきてもらえたら、
夫は一番嬉しいだろう。
それが済んだら、お盆の大切なことはもう何もない。



あとは…




お盆の間、どう過ごしたらいい?




静かに家にいるだけでもいい?




お父さん、これが最近の我が家だよ。







夕方、実家の母から「天ぷら揚げたけど、取りに来るかい」と電話が。


「ありがとう。もらいに行くわ」と言いながら
『そっか、天ぷらか…お盆だものね。忘れてたわ。』て一瞬、思ったんだけど、
もし、お盆は天ぷら、て覚えていたら揚げたのか?
……揚げなかっただろうな。



夫、天ぷらは普通に好きだったけど、
お供えしようと思わなかった…
この暑い中、揚げ物は正直しんどい。




幸い、迎え盆の晩のメインは、おばあちゃんの天ぷら。


『天ぷらには酢醤油だよ』夫の口癖が思い出される。これは欠かせない気がして、食卓に出した。
『ね?美味しいでしょ?』夫の笑顔が浮かぶ…


あれ?貰っておいてなんだけど、夫の好きなサツマイモの天ぷらはないね。
代わりに、子どもたちが嫌いなゴーヤーの天ぷらが…

夫はゴーヤーは、どうだったんだろ?
黙って食べてたから、大丈夫だったんだろうけど、『ゴーヤーがうまい』とは聞いたことなかった。


ゴーヤーが残ってしまう!
私ひとりでゴーヤーばかり食べた。
『お父さんもゴーヤー食べてよ~えーん





夫の好物があってもなくても、




好きでないものがあってもなくても、




もう夫の口には入らない。




食べるのは全部、私たち。





哀しいよ…





寂しいよ……。