美術館までの道。
一山越えて。

車酔いしやすい長女に、スマホは見ないよう釘を刺した。

あの夏、最後の家族旅行で行った道。
5人で立ち寄ったソフトクリーム屋さんを
通り過ぎるとき、
娘が「あ、懐かしい」て、呟いた。

あの夏がほろ苦く思い出されるリゾート地を通るときも、冬の木立を眺めながら
娘は「自然がきれい」と呟いた。


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娘の中では、それは悲しい景色ではないんだ、と確認できた。
父親のことは忘れてないけど、素直に楽しい記憶。素直に美しい自然。

「いつもスマホばかり見てるけど、人間らしい心があるんだねぇ。」とからかうと、
「何それ。人間だし。」と笑った。

それから話が続いて、米津玄師談義に。

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懐かしい道。
懐かしい店。
美しい自然。
若者たちの感性溢れる絵。


良い休日だった。