朝、子どもどちと一緒に家を出る。
「行ってくるね」
夫が通院治療してたころみたいに
夫に挨拶をし玄関のドアを閉める。


玄関の窓から見える
夫の靴を眺めながら
ドアの鍵をかける。


(ハァ…お父さんがいないなんて
嘘でしょう??さびしすぎるよ…)



車に乗り込み、エンジンをかける。


「さぶさぶっ(寒い)…」


車が動き出すときには
さびしい感情が我慢できずに
さぶいに混ざって
口をついて出てしまう。


「さぶしい、さぶしい」

これ、私の造語。
毎朝のように呟くが
子どもたちには定着しない。


定着しなくて結構。


私が我慢し切れず、さぶいにのせて
吐き出しているだけだから。



車のメーターで外気温を
確認する長女。
最近はマイナスが当たり前になってる。
ハンドルは氷のように冷たい。


夫の手袋はめてみた。


二年前のクリスマス、
私が夫に贈った最後のプレゼント。

体力回復の為、
近所をウォーキングする夫に
ムートンの手袋贈った。
温かいと喜んでくれた。



小学校、中学校と子どもを下ろし、
私ひとり、職場に向かう。
ひとりは嫌だな…
つい、また哀しいこと考えてしまう。


手袋、2ヶ月ほどしか



使えなかったね。





家族のために、




前向きに





頑張ってくれたのにね。