夫のいない
二度めの冬だ。




タイヤ交換を急かす声も
聞こえ始めた。



車を買った店で
飛び入りでやってもらえた。
(次からはちゃんと予約しますっ)



夫がいたころは
タイヤ交換は夫の仕事だった。



二年前のタイヤ交換も
通院で抗がん剤治療をしていた夫が
やってくれた。



夫の体が心配で、
私と息子がタイヤの出し入れを
始めて手伝った。



夫を含め家族全員が
病気は治ると信じていたので、
まさか
それが最後のタイヤ交換になるなんて
思わなかった。



タイヤ交換の流れで夫は息子に、



「ついでに、お前に教えるから
  季節の変わり目になったらやってね」



と、家の外周を一回りして、
床下通気口の開閉の仕方を教えた…。




「これからは、息子にもいろいろ教えて
やってもらおう。頼もしいな。」



なんて、夫は思ったのかな。






そして それ以来、本当に




開閉の仕事は




息子の仕事になっちゃった…






息子は





季節の変わり目の度、





父さんの言葉と共に





ふたりで外周を一回りした






あの日のことを







思い出すのかな…涙