祖父は
私の両親と暮らしていたが
祖父がこの世を去ってから
神棚は放置されていた…
ある日
地元の友人に
飲み会に誘われた。
実家に泊まったついでに
祖父の墓参りと
両親の様子を見ようと思った。
両親は
祖父が他界してから
ずっと調子が悪いようだった。
日常生活に
支障が出るほどではないが
電話口でも常に咳をしたり
肩や腰が痛いと言っていた。
実家に到着すると
母が出迎えてくれた。
少しやつれて見える。
両親と一緒に
遅めの昼食をとり
体に気を付けてね
なんて言いながら
リビングでくつろいだ。
飲み会にはまだ時間がある。
私は少し眠ることにした。
祖父の部屋に布団を敷くと
すぐに眠りについた。
そこで、夢をみた—
祖父の部屋で
祖父が熱心に
神棚を掃除をしている。
私はじっと
その様子を眺めていた。
掃除が終わり
神棚に拝んだ祖父は
私の方へ向かってきた。
私の両肩をがしっと掴み
目を真っすぐ見つめながら
「神棚を大事に扱いなさい」
それだけ言って
スッと消えていった。
それと同時に
私はしずかに目を覚ました。
妙にリアルな夢だった…
布団から起き上がり
神棚の位置を確認する。
神棚は押入れの上の
両開きの扉の中にあるはずだ。
押入れの上の
両開きの扉に手をかける。
ぎぃーっという音を立て
扉は開いた。
中からホコリが舞ってくる。
かび臭い匂いが
鼻の奥を刺激した。
この神棚を綺麗にすれば
両親の体調が良くなる。
なぜか
そんな確信があった。
飲み会まではまだ時間がある。
神棚を掃除することにした。
先ほどみた夢で
祖父がやっていた手順を
思い返しながら作業を進める。
床に紙を敷いて
棚から出せるものを
その上に並べる。
丁寧にホコリを払い
空拭きをして、元通りに戻す―
米と日本酒を持ってきて
神棚にお供えをする。
そして最後に
神棚に向かって拝んだ。
すると不思議と
体の芯からじんわりと
暖かくなる感覚になった。
ほどよい時間になったので
友達との飲み会に向かった。
飲み会中、母から連絡が。
急に体調がよくなったらしい。
神棚を清掃したおかげだろう。
祖父の夢のことを伝えると
それ以降、神棚の手入れを
欠かすことはなくなった。
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