Oさんは小学生の頃
近所の川で

友達と遊ぶのが好きだった。
 

よく小魚やザリガニを捕まえて
その数や大きさを競っていた。



そして
捕まえた小魚たちを持ち帰り
Oさんの家の
庭の池の中に放っていた。


 

もともと
生き物らしい生き物がいない
水を張っただけの池だった。
 

川の生き物達を
どんどん入れたことで
池はにぎやかになっていた。


 

その池でいつからか
大きな赤い魚が
目立つようになった。
 

縁日で取って
池に放った金魚が
育ったのだろう。


Oさんは
その赤い魚を気に入った。
 

池のヌシとして
パンくずなどを
餌として与えていた。
 

魚の方も
Oさんが池に近づくと
寄ってくるようになった。


 

ある日いつものように
友達と川遊びをした。
 

その日は小魚が沢山とれた。
小魚達を池に放す。
 

するとその瞬間
ヌシが飛び出してきた。


 

ヌシは勢いよく泳ぎ回り
あっという間に
小魚達をたいらげてしまった。
 

その様子を見て
Oさんは少し恐怖を感じた—


 

それから数日後—
パンくずをあげようと
池に近づいたOさん。
 

ヌシが寄ってこない。
 

おかしいなと思い
パンくずを持ったまま
水面に近づいて中を覗く。



急にヌシが飛び上がってきた。
 

Oさんの手を
パンごと飲み込む。
 

そしてそのままOさんを
池に引きずり込もうとする。
Oさんは思わず悲鳴をあげた。


 

悲鳴を聞きつけて
Oさんの父親が駆けつけた。
 

父親のおかげで
何とか助かった。
 

そして、父親によって
その日のうちに
ヌシは駆除された…


 

いつの間にか
ヌシの大きさは
 

Oさんとの背丈と
同じぐらいに育っていた…
 

父と一緒に池の横に
穴を掘ってヌシを埋めた。
 

そして念のためと
父親が近所のお寺に
供養のお願いをしてくれた。


 

その週末に
住職が家に来てくれた。
 

ヌシの仮の墓の前で
今までの事情を説明する。
そしてお祓いをしてもらった。


 

池の中で生き物たちの念が
凝縮され『蟲毒(こどく)』の
状態になっていたようだ。
 

そのままにしていたら
かなり危なかったらしい—
 

その日以降
Oさんの家の池に
水が入ることはなかった…

 

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