Oさんは
3人家族になってから初めて
妻の実家での年越しを迎えた。
 

親戚一同が集まり、
賑やかな正月を過ごしていた。



2歳になりたての息子は
親戚の子供たちに沢山
遊んでもらっていた。


そのため寝かしつけが
普段よりかなり遅い時間に
なってしまった。



妻の実家は
大きな和風の平屋だった。
 

夜は騒がしいだろうと
気を使ってもらい


宴会場から一番遠い和室を
寝室として

使わせてもらうことになった。


 

すでに半目になっている
息子を連れ、寝室に向かう。
 

普段は荷物置き用の部屋。
入るのは

初めての部屋だった。


部屋には義祖父が集めた
甲冑(かっちゅう)や
日本人形などが飾られていた。
 

高そうな骨董品だな、などと
のんきに眺めながら
息子を布団に寝かす。


 

しかし、その部屋は
2歳の息子にとっては

不気味だったようだ。
 

寝ぼけ眼で

部屋を見回したかと思うと
突然ギャン泣きを始めた。


 

Oさんは必死に

息子をなだめようとするが
なかなか泣き止みまない。
 

 「怖いのが見てる」
 

と息子は泣きながら
何度も繰り返していた…


 

奇妙なことを言うなと思った。
ただ、子供の言うことなのと
 

何とか寝かせようと
必死だったのとで
気にしている余裕はなかった。


 

小一時間ほど格闘する。
やっと泣き疲れたのか
寝息を立て始めた。
 

深い眠りになるまで
しばらく添い寝をして
息子の様子をうかがった。


 

お酒を飲んでいて
暗い部屋にいて
子供の寝かしつけの疲労感—
 

Oさんはいつの間にか
うつらうつらと
眠ってしまっていた。


はっ、と目が覚めたOさん。
体が動かない。
ひんやりとした空気と
異様な気配を感じる。
すると突然、
目の前に甲冑が現れた。
生気のない目が
0さんをじっと睨みつけている


逃げないと—
必死に体に力を入れ抵抗する。
 

すると、体が急に軽くなり
金縛りがとけた。
 

気が付くと
甲冑は消えていた…



息子を抱き上げ
宴会場の隣の部屋に避難する。
 

幸い息子は眠ったままだった。
 

おそらく息子もあの甲冑に
睨まれていたのだろう…
 

その晩
Oさんは寝ることが出来ず
朝まで飲み明かしたそうだ—

 

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